パルコの“嫁入り”先が見つかってよかった 森トラスト社長が語る、パルコ騒動の舞台裏
Jフロントのほうが気は合うけれど、イオンのほうがパワーはある。どちらがいいかはわからない。イオンはもう少し時間をかけようと思ったのかもしれない。協議していてもかみ合わないので、イオンがパルコの社内で空気のような存在になるのを待とうと思ったのかもしれない。ただ、漠然と待っていても仕方がないので、保有比率を33%に上げようとした。そうすると自然と流れができる。そう思ったのではないのか。
--パルコとの今後の関係性はどうなりますか。
資本・業務提携の「資本」はやめて、業務提携だけ継続する。建て替えなどに関して、デベロッパーであるわれわれから知恵を借りたほうがいい。渋谷とか池袋とか再開発をやるわけでしょう。特に、松坂屋銀座店なんて、パルコが入らないとどうにもならない。Jフロントからすると、関西、名古屋が地盤で、東京は弱かった。それが、パルコのグループ化で東京がそろう。パルコにしてみると、存在感を示すことができる。逆に、イオンにグループ化された場合は存在感がなくなると恐れたのではないか。
■森トラストが増資を引き受けたからパルコは旧セゾンのしがらみが整理できた。当然、感謝されていい
--パルコに出資してからの11年間をどう振り返りますか。
パルコの社債の償還期限が迫り、増資を頼まれたことから、2001年にパルコとの関係が始まった。余計な株の持ち合いをやめさせて、旧セゾングループのしがらみが整理でき、パルコにしてみればずいぶん助かったと思う。ウチの信用の裏付けがあったからできた。当然、感謝されていい。
でも、サラリーマン社長は、自分の会社だと勘違いする。パルコの平野前社長は、10年8月に日本政策投資銀行(DBJ)に転換社債を発行し、資本・業務提携を結んでしまった。DBJなんて投資事業なんだから、将来売却することが前提。DBJを呼び込んできたから、パルコはどこかの子会社になる運命となった。平野さん自身がパルコの自主性を手放したのに、手放したくないと言っている。自分のやっていることがよくわかってない。最近そういう会社が多い。