パルコの“嫁入り”先が見つかってよかった 森トラスト社長が語る、パルコ騒動の舞台裏

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取締役と執行役員に分けたことが元凶かもしれない。役員会は月1回、経営会議は毎週の開催。どうしても後者を優先してしまう。つまり、縦割り意識が強まる。たとえば、平野さんがDBJから実質的な出資を仰ぐことにもファイアウォールがかかってしまう。役員会も知らないうちに、経営会議で決めてしまう。パルコに限らず、そういうケースが増えている。

米国流のものを取り入れたけれど、魂が入っていない。形骸化して、かえって縦割りになり、余計なファイアウォールがかかって、ガバナンスが効いていない。イオンにしても、大半の社員が今回の顛末を知らない。森トラストはずいぶんおかしなことをした、と思ってしまう。

--肩の荷が下りましたか。

現在は、われわれの本業である不動産業がどうあるべきか、難しい局面を迎えている。東京都心というコアは変わらないが、それが狭くなってきている。少し足場を広げる必要がある。パルコ株売却発表の前日(2月23日)に関西地盤のマンションデベロッパー、日本エスリードへ32%出資したのも、そうした観点からだ。本業以外の分野まで面倒を見切れない。

一方で、これからは流通業も小売りだけでは難しい。一気通貫でないと生き残れない。小売りを考えるには、荷が重すぎる。そういう面では、パルコの嫁入り先が見つかってよかった。

森 章 もり・あきら
1936年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、60年安田信託銀行入行。72年森ビル入社。社長室長、常務を経て、93年から森ビル開発(現・森トラスト)社長。森ビルの森稔会長は兄に当たる。

(聞き手:猪澤顕明、桑原幸作 撮影:今井康一 =東洋経済オンライン)

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