くすぶり続けるギリシャ危機、ユーロ離脱の可能性

どこまで支援を続けなければならないのか、という反発はドイツ国民の間に根強い。ギリシャ側でも、緊縮財政に耐え切れず4月の総選挙で緊縮財政に反対する勢力が伸びれば、再び混乱に陥る可能性がある。

ギリシャのユーロ圏からの離脱は難しいと見る人々の根拠は、ユーロ通貨圏からの離脱の手続き規定がなくEUからの離脱となることから、これはギリシャ人自身が望んでおらず、混乱も大きくなるというものだ。

ギリシャがこのままユーロにとどまることを可能にするには、ユーロ圏におけるドイツとギリシャの関係が、一国における豊かな州と貧しい州であるかのように、ドイツがギリシャを支援し続ける必要がある。経済的には、今ドイツ経済はユーロ安の恩恵で絶好調であり、可能に見える。

しかし、こうした財政統合の実現によってギリシャは主権を失う。民族国家の枠組みは強固であり、人々の生き方にかかわる問題だから、事はそう簡単ではない。

ドイツから見れば、公務員天国などと揶揄されるギリシャの人々の生き方はだらしがなく、許しがたいものかもしれないが、ギリシャの人々からすれば、ドイツ人は強い競争力を武器にギリシャから搾取し続ける人々だ、という見立てになる。IMFやEUのテクノクラートがアテネに集結しドイツ流の生き方を押し付けようとしていることには我慢がならない、という空気が充満している。

EUの市場関係者の間では、ECBの資金供給によって防火壁ができ、イタリアやスペインの国債のスプレッドの水準がやや落ち着いてきていること、ギリシャ国債の保有がギリシャ国内の金融機関に集中させられつつあることから、離脱がしやすくなっていると見る向きが増えているという。今年の後半には、中長期をにらみ、ギリシャのユーロ離脱が本気で考えられる段階が来るのではないか。

(シニアライター:大崎明子 =週刊東洋経済2012年3月10日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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