くすぶり続けるギリシャ危機、ユーロ離脱の可能性
この間、ギリシャへの追加支援策がようやく合意された。ギリシャの構造調整プログラムへの取り組みをIMF(国際通貨基金)、EU、ECBのトロイカ体制で監視することを条件に、最大1300億ユーロの政府の資金繰り支援を行う。
ECBと各国中央銀行は、20年までに保有するギリシャ国債から出る利益をギリシャへ還元し、また第1次支援で決まった融資の金利を、Euribor+150ベーシスポイントに引き下げる。また、民間金融機関のPSI(Private Sector Involvement、民間セクターの関与)による債務交換で、元本の53・5%削減とクーポンの引き下げを行う。これにより1070億ユーロの債務が削減される。ギリシャは20年までに債務残高の対GDP(国内総生産)比を現在の160%から120・5%に引き下げる計画だ。
とりあえず3月20日の145億ユーロの償還ができない懸念は回避されたものの、ギリシャは引き続き火種であり続ける。緊縮財政による景気の悪化それ自体が財政再建を阻む。為替の調整ができない状態では、競争力は弱いままで、財政赤字と経常赤字の双子の赤字を解消することはできないからだ。
ギリシャの危機が他国に飛び火することを防ぐ役割をEFSF(欧州金融安定化ファシリティ)が担うはずだったが、支援能力の引き上げなどが合意できずに、EFSFの機能は今年7月に発足予定のESM(欧州安定化メカニズム)に引き継がれることになった。その間の資金供給を、ECBが担う形になっている。