つまりフォーミュラEは、大きな成長の鍵となる若い世代の需要を掘り起こすため、最新技術とエンターテインメント性のバランスを重視するモータースポーツなのだ。
実際にその効果はデータとして表れており、昨シーズン(シーズン10)は前シーズン(シーズン9)と比較して、世界全体でのテレビ(ネット)の累積視聴者数が35%増加して、4億9100万人に達した。SNSのフォロワーも20%増加している。

MotoGPを抜き、F1に迫るビジネスへ
いま量産EV市場では、欧州連合の執務機関である欧州委員会の「欧州グリーンディール政策」の軌道修正や、アメリカの第2次トランプ政権の自動車産業に対する方針などから、「普及は踊り場」といわれることが多い。
EV市場をこれまで牽引してきたテスラが、イーロン・マスクCEOのアメリカ連邦政府の一員としての振る舞いや言動から、“アンチテスラ”の動きが欧米で広がった影響もある。
そうした量産EV市場の動きと、次世代モータースポーツの可能性を追求するフォーミュラEの成長は、同じテーブルの上で論じることができないように思える。先のロンゴ氏は、次のようにいう。

「我々は、技術・レース体系・開催方法など、何事に対してもフレキシビリティ(柔軟性)を大切にしている」と、観客・視聴者・スポンサー企業・国・地方自治体など、カスタマーファースト(顧客第一主義)の姿勢を強調した。
そのうえで、フォーミュラEはこれから、一気に急成長を狙う。ドッズCEOは、「今後数年をかけて開催レース数を拡大し、(ダブルヘッダーを含めて)年間22〜23戦まで拡大させる」という。
そうなると、事業規模では2輪の世界最高峰MotoGPを抜き、F1に迫るビジネスになることが予想される。
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