テスラ株主とアメリカ消費者からの反感が増大。マスク氏のDOGE就任が業績悪化を招く可能性

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

この要請は、マスク氏が4月下旬に「DOGEに割く時間を週1~2日に減らす」と発言するきっかけになったかもしれない。マスク氏本人も、DOGEへの関与がテスラの株価に悪影響を与えている可能性があることを認めており、少なくともDOGEへの関与を減らすとの発言は、株主の不満を多少は和らげることになっただろう。

ちなみに、テスラの2025年1~3月期の総売上高は前年同期比9%減の193億4000万ドル(自動車部門の売上高は前年比20%減の140億ドル)で、アナリスト予測を下回り、純利益も前年同期比71%減の4億900万ドルとなった。これには同社の小型クロスオーバー車である「Model Y」の改良版のため、工場のラインを改装する必要があったからだ。さらに、販売価格の低下や販売のためのインセンティブ増加が、足を引っ張ったとテスラは説明した。

マスク氏への反感がテスラ嫌悪に?

ニューヨーク・テスラ店舗前の抗議デモ(写真:Bloomberg)

冒頭に述べたように、マスク氏はテスラCEOであるほかに、現在は約36兆ドルにのぼるアメリカの累積財政赤字状態の解消を掲げるDOGEで、アメリカ政府機関のコストを削減する立場にある。その主な手段は単純に政府機関の縮小・閉鎖とそれに伴う雇用削減だ。

マスク氏は、人道支援から医療衛生や教育の発展、民主主義の強化、さらに女性・LGBTQ+関連の権利擁護などのための援助活動を世界60カ国以上で行ってきたアメリカ国際開発庁(USAID)を「詐欺集団」や「極左の巣窟」と呼び、DOGEの活動でも早くにUSAID本部の閉鎖を宣言、大幅な人員削減を行った。DOGEはさらに、国防省、教育省、連邦航空局、内国歳入庁(IRS)なども削減の標的としている。

ただし、トランプ政権を後ろ盾とするマスク氏とDOGEによる、強引なやり方には反発もある。テスラのオーナーでありながら、EV普及を推進する既存政策を撤回し、物価・雇用の悪化を招くとも予想される高関税政策を推進する現政権を後押しするマスク氏を快く思わない人々が、アメリカ各地のテスラ販売店などで「イーロン・マスクを追放しろ」などと叫ぶ抗議デモを起こしはじめたのだ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事