アマゾンはスターリンクに続くか? ついに「衛星打ち上げ」も、"暗雲立ち込める"現実…あと1年で1591機打ち上げは可能なのか?
地球全体の通信インフラを制することは、経済的利益をもたらすだけでなく、戦争をも左右する。
このことは、2022年2月にロシアがウクライナに侵攻した際、スペースXのスターリンクが前線を支える通信インフラになったことで明らかになった。同時にイーロン・マスクの発言1つでウクライナを不利な状況に追い込むことができる危うさも懸念されている。
この急成長と、何よりもボトルネックだったロケットの調達を垂直統合で実現できると実証したスペースXは世界で衛星コンステレーションの機運に火をつけた。
世界で地上のブロードバンド網を持たない地域に衛星通信を届ける構想を持っていたOneWeb(事業表明はこちらの方が早い)は600機以上、ボーイングが1000機の衛星コンステレーションを計画。

ついにアマゾンが参入
そして2019年に、3236機の衛星コンステレーションを表明したのがアマゾンだ。
2020年7月に連邦通信委員会(FCC)から衛星事業の認可を得ると、アマゾンは100億ドル(当時のレートで約1.1兆円)の投資とともに衛星の開発とロケットの調達を開始した。
そしてこのとき、FCCから厳しいルールを課せられている。
認可から6年後の2026年7月30日までに計画衛星数の50%にあたる1618機、2029年7月30までに残り50%の衛星を打ち上げるという期限だ。
これが課せられた背景には、衛星コンステレーションの増加に伴い、衛星の周波数が過密していることがある。
科学誌『Science』(2023年10月号)によれば、2017年1月から2022年12月までの6年間で、100万機以上の衛星を含むものも含め、300以上もの巨大なコンステレーション計画が申請されている。
しかしこの中には、実際には衛星を打ち上げることなく周波数を「押さえる」目的の申請が入っていると考えられている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら