アマゾンはスターリンクに続くか? ついに「衛星打ち上げ」も、"暗雲立ち込める"現実…あと1年で1591機打ち上げは可能なのか?

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そこで2019年から、一定期間内に実際に衛星を打ち上げることを義務付ける「マイルストーン方式」を求めるようになった。これを受けて各国の通信当局は、国内の衛星事業者に認可を与える際にマイルストーンを設定するようになったのだ。

アメリカの場合は前述の通り、連邦規則で認可から6年以内に計画衛星数の50%を打ち上げることを求め、FCCが規制にあたっている。

中国の脅威的な追い上げ

実は、中国も“宇宙強国”だ。

欧米勢にやや遅れながらも、衛星コンステレーションの力を認識し、1万機から1万5000機もの巨大なコンステレーション構想を3つも打ち出している。中国もマイルストーン方式を取り入れ、アメリカと同様に一定期間以内に計画衛星数の50%を打ち上げて実行力を示す規制を設けている。

中国
中国の2024年まで3年間の衛星打ち上げ数の推移。1回あたりの搭載数を増やす実証をしつつ、加速してきいている(衛星軌道情報サイトCelesTrakのデータを基に筆者作成)

この規制の実行力は、つまるところ衛星コンステレーション事業者がどれだけ短期間でロケット打ち上げ能力を調達できるかという点にかかっている。

スペースXの場合は、2019年のスターリンク整備開始当初は1年に2、3回だった打ち上げ頻度が、翌年から毎月、毎週へと頻度を上げている。2023年以降は途切れることなく1カ月に50~250機程度の衛星を打ち上げている。平均すると1年あたり1375機となり、1万2000機の計画は10年足らずで完成する見込みだ。

中国は2024年6月から衛星コンステレーションの1つ「千帆星座」の衛星打ち上げを開始し、毎回18機ずつこれまでに90機を軌道に投入した。

アマゾンはこれに匹敵する打上げ能力を調達しなくてはならなかったわけだが、実際には調達はかなり難航した。

2021年にボーイングとロッキード・マーティンの合弁企業ユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)から9回、2022年には、米仏の3社から3種類のロケット打ち上げを一気に77回も契約する。

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