アマゾンはスターリンクに続くか? ついに「衛星打ち上げ」も、"暗雲立ち込める"現実…あと1年で1591機打ち上げは可能なのか?

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そこで、高度数百kmで衛星を多数配置した衛星コンステレーションによって、北半球の高緯度地域でも、南半球の地上のブロードバンド網が乏しい地域でも、同じようにインターネット接続サービスを提供しようという動きが出てきた。

過去にも、ビル・ゲイツが出資して1994年に始まった「Teledesic(テレデシック)」という構想があった。

しかしGPSの数十機規模とは異なり、ブロードバンド通信を低軌道の衛星で実現しようとすると、常に上空に途切れることなく衛星が周回していなくてはならず、840機と飛躍的に大規模の衛星網が必要になる。

テレデシックはプロトタイプ衛星を1機打ち上げたのみで運用衛星の整備にはいたらず、2002年に計画を終了した。

「スペースX」の革命

ロケットの打ち上げは1年に数回、1回あたり100億円以上のコストがかかるため、実現困難と考えられていた衛星コンステレーションを実現させたのが、イーロン・マスクとスペースXだ。

2014年ごろに公表された「スターリンク(当時は「スカイネット」とも呼ばれていた)」は、テレデシック失敗の記憶も新しく、宇宙産業の関係者から半信半疑で見られていた。しかし2015年に、スペースXが衛星打ち上げロケットを再利用し、多頻度の打ち上げを実現すると風向きが変わる。

最大のコスト要因だった多頻度のロケット打ち上げを実現したことで、スターリンク衛星の本格的な打ち上げが2019年から始まった。

スペースXはあっという間に衛星打ち上げ数の世界記録を塗り替え、世界最大の人工衛星オペレーターに成長した。2019年5月から2025年4月14日までのスターリンク衛星の打ち上げ数は累計で8250機となっている。第1段階の構想約1万2000機を目指して打ち上げを続けつつ、114カ国にサービスを提供するまでになった。

スターリンク
2019年のスターリンク運用衛星打ち上げ開始から2025年4月14日までの推移。2023年以降は途切れることがない。また衛星は大型化し1回あたりの搭載数は減っているものの月あたりの打ち上げ数は増えている(衛星軌道情報サイト「CelesTrak」のデータを基に筆者作成)
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