実は「日本発祥スイーツ」ミルクレープが人気上昇中、"生みの親"が語る専門店誕生の舞台裏。ミルクレープ発想の原点はラザニア

常設店がない関東でも、近年は人気を受けほぼ年中、どこかで期間限定ショップを開いている。
4月、JR荻窪駅でポップアップ・ストアを設営準備中だった植田氏は、通りすがりの男性から「ミルクレープ大好き、一番はドトールなんだよね」と話しかけられ、「開発した人は、ドトールのミルクレープをかつて監修した人です」と返したそうだ。
*【5月8日17時25分追記】初出時の表現を一部変更しました
それを聞いた男性は「絶対買いに来る」と喜び、他にも「いつからですか?」「絶対買う」など知らない人同士で盛り上がったそうだ。
開業2日目の平日午後2時過ぎに筆者が買いに行った際も、前の女性が楽しそうに紙袋2つ分を購入しており、後ろにも数人行列ができた。
植田氏の言葉にあったとおり、「カサネオ」はミルクレープを考案し、ドトールコーヒーのミルクレープ開発にも携わった伝説の料理人兼パティシエの関根俊成氏が、シュゼットの蟻田剛毅社長と出会い生まれたブランドである。
そこで今回は、ミルクレープの歴史体現者でもある関根氏の歩みをたどりつつ、なぜ今、人気なのかを考えてみたい。
ミルクレープ誕生の本当の話
インターネット上にはミルクレープ誕生年情報が入り乱れているが、関根氏によると、それは1988年のことだった。
関根氏は1981年、フルーツパーラーで知られる渋谷西村總本店で料理人の修業を始めた。1986年、西麻布のレストランと喫茶店を併設した「ルエル・ドゥ・ドゥリエール」に転職。レストランでクレープ・シュゼットを真似て、「クレープ3、4枚を重ねた上にザラメをかけ、ブランデーを注いで火をつける(フランベする)」演出を始めた。
本来のクレープ・シュゼットは、客の前で鍋に砂糖やバターを入れてオレンジ果汁などで煮たクレープを置き、オレンジリキュールを注いでフランベする。
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