「目の前に薄いカーテンがかかったような…」目の違和感を放置した男性が味わった"恐怖"の正体――知っておきたいキケンな飛蚊症の見分け方

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「鈴木さんの場合、左目は進行していたので③の治療を受け、右目は早期だったので、①の治療ができたのでしょう。③の治療では網膜を定着させるためにガスを入れますが、ガスが入っている間は1日中は無理でも、退院後もできるだけうつ伏せでいたほうがいいです」(宮本医師)

さらに鈴木さんは左目の「水晶体再建術」も同時に行っている。

この手術は、加齢によって濁った水晶体を人工のレンズに置き換えるというもの。50歳以上だと白内障を患っていることも多く、水晶体を人工のレンズに替えることにより、眼科医が眼底を詳しく観察でき、網膜剥離の手術をよりスムーズに進めることができるそうだ。

それにしても、鈴木さんの左目が短期間で2回も手術を受けることになったのはどうしてなのか。

「実際に鈴木さんを診ていないのでわかりませんが、網膜剥離は短期間に何度か起こることもあります。また、網膜剥離になる前の網膜裂孔は小さいと診察ではわからないこともあるので、そこが悪化したという可能性もあります」(宮本医師)

眼科受診のタイミングは?

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では、どんな症状があったら病院へかかったほうがいいのだろうか。宮本医師は「飛蚊症のような症状があった段階で、すぐに受診してほしい」と話す。

「飛蚊症でも網膜剥離でも糸くずや微生物みたいな浮遊物が見える点は同じですが、網膜剥離の場合は日が経つにつれて急激に増えてくるのです。そして、次第に視野の一部が霞んだり欠けたりすることもあります」(宮本医師)

つまり、視界がどんどん悪くなっていく場合は、より早急に眼科を受診したほうがいいといえる。

網膜剥離の治療は、時間との戦い。治療を早く開始すれば、負担も少なくて済むことが多い。特に中高年以上で、強度の近視でアトピー性皮膚炎のある人は気をつけたほうがいいだろう。

大西 まお 編集者・ライター

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おおにし まお / Mao Onishi

出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な編集担当書は、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、宋美玄 著『産婦人科医ママの妊娠・出産パーフェクトBOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。

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宮本 桂一 眼科医 立川髙島屋S.C.眼科院長

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みやもと けいいち / Keiichi Miyamoto

昭和大学医学部卒を卒業後、昭和大学眼科学教室入局。富士吉田市立病院 眼科、昭和大学病院眼科勤務を経て、令和6年7月より立川髙島屋S.C.眼科の院長を務める。

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