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〈詳報記事〉政府が巨額支援、ラピダス「薄氷の半導体量産化計画」。現在の進捗は“まだ1合目”

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10年間で50兆円超の官民投資を計画

そこで政府は24年末に「AI・半導体産業基盤強化フレーム」を策定。AIと半導体分野に30年度まで計10兆円以上の公的支援を行い、今後10年間で50兆円超の官民投資を誘発する計画だ。その枠組みを通じ経産省が旗振り役となり、今国会で通称「ラピダス支援法」が成立した。

「研究開発支援にかかる2兆円のうち、残る数千億円の金額を次の26年度に予算要求し、研究委託は終わる。その次のステップがラピダス支援法だ」と、経産省・商務情報政策局情報産業課の金指壽課長は説明する。

ラピダス支援法の実態は「情報処理促進法」の改正である。本改正によって、デジタル人材育成などを担う経産省所管の独立行政法人・IPA(情報処理推進機構)に、新たに3つの業務が追加される。その対象となる企業は公募で選定されるが、事実上ラピダスを想定した措置となっている。

追加業務の1つ目は「民間企業への出資」だ。原則として政府が直接民間企業に出資することは法律で禁止されているため、IPAを経由して出資を行う。経産省はこのスキームを通じて、25年度中にも1000億円をラピダスへ出資する見通しだ。

一方で、ラピダスの既存株主からの出資は現状でわずか73億円にとどまる。そのためラピダスは政府からの出資1000億円に加え、民間にも1000億円規模の追加出資を呼びかけている。小池社長は「ある程度メドが立ちつつある」と繰り返している。

2つ目は「施設・設備の現物出資」。現在、ラピダスが研究開発に使っている工場や装置などはNEDOの資産である。このままでは、量産ビジネスに移行する際にラピダスはその資産を買い取る必要が出てきてしまうため、IPAがNEDOから資産を取得、さらにその資産をラピダスに「現物出資」することで、買い取るための資金負担を緩和する狙いがある。

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