「強い職場」に共通する30代の活かし方[第1回]--だからあなたの会社は変わらない

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現場のことをよく知っており、現場への影響力も大きい。すでに数多くの経験を積んできており、組織に影響を与えていくための土台ができている時期といえるだろう。

実際に、組織活性化に向けた活動が行われている組織は、30代がその活動の中心となっていることが多い。

いくつか事例を紹介したい。ある企業では「部の方向性が見えない」といった声が社員から多く上がっていた。30代社員が、「何とかしたい。活性化した組織にしたい」と立ち上がり、仲間とともに部員全員を集めた対話の場を繰り返し設けることにより、部の大切にしている価値観を定義した例もある。

これも、定義するだけにはとどまらず、その価値観をどのように社員に浸透させるか、管理職がどのように日々のマネジメントに活用するかまで検討が進められ、力強い活動として継続されている。

このようなプロセスを通じて、どんどん組織が活性化していっている。

ほかにも、自社の人材育成が十分に行われていない現状を解決しようと、30代社員が中心となり、人材育成の仕組みを組織に定着させている事例もある。中堅社員が率先して人材育成を行っていくことが、組織の活性化につながっているのだ。

30代社員の影響力は大きい。組織活性化のカギを握るのは、30代といっても言い過ぎではないだろう。現場の第一線で活躍する30代社員が組織を牽引している企業は、強い組織であるといえるのだ。

今後の連載においては、30代社員に焦点を当て、その育成のポイントや組織活性化について考えていくこととしたい。

吉田実 よしだ・みのる
株式会社シェイク代表取締役社長、2003年シェイク入社、09年より現職。社長業の傍ら、ファシリテーターとして年間100本以上の育成プログラムのファシリテートを務める。現場に立ち人材育成を手掛ける中で、30代に起こっている現状を問題視するようになる。数々の経営者、人事担当者の声を聞きながら、育成プログラムを開発。著書に「新・ぶら下がり社員」症候群(東洋経済新報社)。

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