「トランプ関税か…え、無印良品はほぼ影響ナシ!?」 業績復調で株価も上昇の良品計画、《アジア・郊外中心》出店戦略から好調を読み解く

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アメリカ進出と同じタイミングでの展開だったが中国では業績が好調で、2024年8月期からは年間50店のペースで出店を加速させている。

ちなみに、良品計画の海外展開はヨーロッパでもあまりうまく進んでいるとはいえない。欧州の「MUJI」も「戦略的な事業再編」を行い「英国民事再生手続きに掛かる財産管理人の候補者選定」をした。倒産ではないが、「民事再生手続き」を進めるぐらいには調子が悪い。

アジアで受け入れられて、欧米で受け入れられなかった理由を簡潔に述べることはなかなか難しいが、いずれにしても、近年の無印良品の「アジアシフト」が結果的にトランプ関税への対抗策として働いたわけである。

着実な改革で絶好調状態の無印良品

……と、トランプ関税と無印良品の関係性を見てきたが、そもそもトランプ関税云々の前に、現在の「良品計画」は絶好調である。

2025年8月期の中間決算では、営業利益が前年同期比49.8%増の361億円。純利益は同61.6%の増加だ。これに伴って株価も上昇し続けていて、2022年4月は1169円だったのが、5月7日には5000円を突破。その後も5000円近くを維持している。特にこの3月から4月にかけて急騰ともいえる状態になっていて、1000円以上も値上がりしているのだ。

興味深いのは、その業績を詳しく見ると、国内、欧米、アジアすべてのセクションが好調なことである。 

郊外シフトが進む国内既存店を中心に、どのセクションも好調に推移していることがわかる(出所:良品計画の決算説明会資料より)

欧米については先ほども述べたような店舗の閉鎖などで事業再編が進んだこと、そしてアジアは元々好調だったのをさらに店舗を増やして勢いをつけた。

さらに国内では、商品ラインナップの充実によって既存店への客足を回復させることや、これまで手薄だった地方への積極的な出店攻勢が功を奏している。

商品についてみれば、スキンケア商品や日用消耗品などの普段使いの商品が好調だったことがある。これらの種類を充実させ「アパレル」としてのイメージが強かった無印良品をより日常で使えるブランドにしつつある。

冷凍食品をはじめとした食品ラインの提供も増やしている(筆者撮影)

また、地方出店については、その地域の核となるスーパーとの併設店舗を精力的に作っており、その地域に馴染みつつ、地域のコミュニティセンターになることを目指す。3月には奈良県橿原市の「イオンモール橿原」の中に世界最大級の店舗を作ったことでも話題を読んだ。

無印良品イオンモール橿原店。あまりにも巨大だ(筆者撮影)
スーパーマーケットに併設されている無印良品も増えている(筆者撮影)
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