「トランプ関税か…え、無印良品はほぼ影響ナシ!?」 業績復調で株価も上昇の良品計画、《アジア・郊外中心》出店戦略から好調を読み解く

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良品計画は海外で「MUJI」として店舗展開を行っているが、その全店舗は717店舗。うち、中国418店舗、香港22店舗、台湾68店舗、韓国43店舗の計551店舗、海外店舗の約8割が東アジアにある。

一方でアメリカでは10店舗の展開にとどまっており、トランプ関税で最も混乱するアメリカとのやり取りが比較的少ない。

良品計画  決算説明会資料
欧米で店舗数が少ないため、結果的にトランプ関税の影響を受けにくくなっている(出所:2025年8月期第2四半期データブック

また、製品の製造の多くを中国や東南アジアで行っていることも強みである。

対する無印良品は、製品こそ中国や東南アジアで作っていることが多いが、それを売る先は中国をはじめとした東アジアが多い。

良品計画は製品の生産パートナーをウェブで公開していて、それによれば、パートナー企業107社のうち26社が中国企業で、全体の25%を占める。その次に多いのがベトナムで、アジアの中で流通がうまく回っていることがわかる。対アメリカのやり取りが発生しないから、関税の影響も軽微で済むわけだ。

良品計画は、生産パートナーリストをホームページにて公開している(出所:良品計画HPより)

これが、アメリカに出店しているとなると、一気に痛手になる。

例えば、アパレル大手のユニクロは積極的なアメリカ展開を行っているが、製品を東南アジアで作り、それをアメリカに輸入する形で売っているので直接関税の影響を受ける。ちなみにユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、4月10日の中間決算説明会でトランプ関税を批判している。それぐらい、ユニクロにとっては痛手なのであろう。

デイリー新潮のインタビューに対し良品計画は「現在アメリカの店舗は10店舗(海外699店舗中)で、比率が低いため、グローバルなインパクトは低いと考えております」と述べている。

うまく進まなかった欧米展開

とはいえ、良品計画がアメリカをはじめとする北米での進出を最初から行ってこなかったわけではない。

アメリカ市場へは、2007年の段階から出店を試みていたのだが、ECの爆発的な普及や小売展開の難しさ、高額な賃料などが重なり、最終的にはコロナ・パンデミックの影響を受けて、2020年に破産申請の適用を行った。2017年度以降は年間2〜3店舗のペースで出店を続けていたが、ブランド認知がうまくいかず頓挫した形である。

一方、中国への展開が本格化したのは2008年から。最初の店舗は2005年に誕生していたのだが、中国での「無印良品」をめぐる登録商標の法廷闘争などがあって、本格化はその3年後となった。

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