日本アニメ産業にとって「油田」になる?中東・アラブ地域の秘めたる熱狂 「今後10年で最も成長するアニメ市場」と言われる理由とは

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イサムCEOによると、MENA(中東および北アフリカ地域)ではストリーミングサービス利用者のうち、およそ9割がアニメを認知しており、7割が好意を抱いている状況です。人気のジャンルも、アドベンチャーやアクション、ファンタジーやロマンス、ドラマなどと幅広く、日本国内と変わらず多様な作品が受け入れられています。

日本のアニメが好きな理由も、“クオリティの高さ”や“ユニークなアートスタイル”を支持するものから、“日々のストレスから逃れられる”など、さまざまです。イサムCEOも、「日本の作品はヒーローの頑張りが勇気を与えてくれる」と、自身がアニメの主人公に勇気づけられたエピソードを交えながら、アニメの魅力を熱弁していました。

アニメの祭典「AnimeJapan」の様子
東京ビッグサイトで開催された「AnimeJapan」には国内外のエンタメ企業が出展した(筆者撮影)

2030年までに市場規模は約3倍に

中東・アラブ地域のアニメ市場の特徴は、その成長率の高さにあります。中東のアニメ市場は現在2.1兆円の規模ですが、その数字は2030年までに約3倍まで膨れ上がることが予想されています。

というのも、中東は人口の7割近くが30歳以下という非常に若い市場で、若年層にも受け入れられやすいアニメとの相性が抜群です。加えて、今後はリヤド万博や男子サッカーのワールドカップ、eスポーツのオリンピックといった国際的な催しが数多く予定されており、エンタメ企業によるビジネス創出も期待できるからです。

ただし、全体的には成長が期待できる市場ですが、進出には注意も必要です。人口が多い国ほどビジネスチャンスも大きいと考えてしまうかもしれませんが、中東地域でストリーミングなどに支払う月平均金額が高いのは、エジプトやイラクではなく、サウジアラビアやクウェートなど6カ国からなるGCC(湾岸協力理事会)の国々です。

そのため、日本企業が今後、中東でのビジネスを成功させるためには、GCCに焦点を当てた展開が重要になってきます。中でも、断トツで大きなマーケットとされるサウジアラビア市場への展開が、勝敗を分けると言っても過言ではありません。

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