知将・反町康治が斬る!2025年の「J1」が"予想外の団子状態"になっている2つの必然

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こう語る反町GMの脳裏には、湘南から浦和レッズを経て、シントトロイデン(ベルギー1部)、シュツットガルト(ドイツ1部)、リバプール(イングランド1部)と華々しい飛躍を遂げた遠藤航や、松本山雅から水戸ホーリーホック、マリティモ(ポルトガル1部)へのレンタル移籍を経て、横浜FMでストライカーとしての才能を大きく開花させ、現在セルティック(スコットランド1部)で大活躍している前田大然といった、教え子たちの姿が浮かんでいるはずだ。

遠藤は反町監督が湘南を指揮していた2010年にトップへ引き上げた選手。当時17歳だった若武者は、同年のJ1王者・名古屋グランパスのエースFWジョシュア・ケネディをいきなり完封するほどのポテンシャルを示していた。

前田も足元の技術に難はあったが、爆発的なスピードと献身性を武器に、新人の頃から出場チャンスをつかみ、徐々に数字を積み上げ、世界へと羽ばたいている。

リバプールの守備に貢献する遠藤(左)とセルティックで得点を量産中の前田(左写真:REX/アフロ、右写真:Colorsport/アフロ)

2人の教え子に見た「世界で戦える選手の条件」

「(遠藤)航は実戦を通じて学んでいく力が高かった。ものすごくスピードがあるとか、長身だとか、足元の技術が際立っているというわけではなかったですが、試合を重ねることでサッカーIQ(知能指数)をどんどん引き上げられる選手でした。

(前田)大然は山梨学院大学附属高校から高卒で入ってきた選手。当時から犠牲心やハードワークの意識は高かった。指導者が要求したことを真摯に受け止め、ピッチで表現しようという素直さも持ち合わせていました。

自分も清水出身だからわかりますが、サッカー王国ということもあって、この地域は技術志向が非常に強く、『うまい選手』が何よりも重視されてきた。それが“甘え”につながっているのも否定できません。

私も40年ぶりに故郷に帰ってきて、そういう部分を改善しながら、タフに戦える選手をより多く輩出していかないといけないと痛感しています。それがサッカーどころ・清水復活のカギだと信じています」

反町GMが言うように、選手の育成はクラブの成否を大きく左右する。今季好調の京都は京セラのバックアップの下、スカラーアスリートプロジェクトを2006年から立ち上げ、日本代表招集歴のある久保裕也(アメリカ1部・シンシナティ)、奥川、川﨑らを育てているし、福岡も冨安健洋(イングランド1部・アーセナル)という傑出した人材を輩出するに至っている。

近年の清水はそんな他クラブの後塵を拝している傾向も強いだけに、育成環境の改善は急務のテーマといっていい。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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