知将・反町康治が斬る!2025年の「J1」が"予想外の団子状態"になっている2つの必然

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1993年のJリーグのスタート時から参戦している「オリジナル10」の名門である清水は、1990年代はつねにタイトル争いを演じ、1996年にはJリーグヤマザキナビスコカップを初制覇。2ステージ制だった1999年にはセカンドステージ優勝を果たし、2001年シーズンには天皇杯も獲得している。

2002年元旦の天皇杯決勝で延長戦の末にセレッソ大阪を破り、初優勝を決めた(写真:清水エスパルス提供)

しかしながら、その後は厳しい時代に突入。長谷川健太監督(現・名古屋グランパス監督)が率いた2005〜2010年には岡崎慎司(現バサラ・マインツ)のような傑出したタレントも出てきたが、2010年代になるとJ1下位が続き、2015年にはついに初のJ2降格を強いられた。

それでも、翌2016年には1年でJ1復帰。2017〜2022年まで6シーズンを戦ったが、2022年に2度目のJ2降格が現実になってしまった。その結果、2023〜2024年をJ2で戦うことになり、今季、ようやく最高峰リーグに戻ってきたところだ。そして、今季はいい流れを維持し、序盤12試合を戦って5勝3分4敗と、白星が先行する前向きな機運が生まれている。

「2023年途中から指揮を執っている秋葉忠宏監督の下、チーム全体が一体感を持って戦ってくれているのは非常にポジティブな点だと思います。

ただ、『サステナブル(持続可能)なチーム作り』という観点で見ると、25歳以下でコンスタントに試合に出ているのは、2024年夏に町田ゼルビアからレンタルで加わり、今季から完全移籍に移行した2003年生まれの宇野禅斗1人。2002年生まれの高木践や2006年生まれの西原源樹といったアカデミー(育成部門)育ちの選手も試合には絡んでいますが、まだ絶対的な主軸にはなりきれていないのが実情です。

6月に37歳になる乾貴士のように経験豊富なベテランが頑張ってくれているのはありがたいことですが、来年、再来年と先を見ると難しい部分もある。そういう意味でも、若手の台頭を強く期待したいところです」

若手の底上げへ避けては通れない道

反町GMが指摘する若い世代の底上げの遅れというのは、森保一監督が率いる日本代表にも言えること。昨年までJFA技術委員長としてその問題を直視してきたからこそ、地元に戻った今は、その課題をいち早く改善したいという思いが強いのだろう。

もちろん、清水もアカデミーに力を入れていないわけではない。アカデミーからは過去には2002年日韓ワールドカップ(W杯)メンバーだった市川大祐(現トランジションコーチ)が出ているし、日本代表経験のある現チームのキャプテン・北川航也もユース出身。年代別代表を見ると、コンスタントに清水出身選手が名を連ねている。

ただ、近年は才能ある若手が日本のトップ選手に成長しきれていない現実もある。そこで、反町氏がクラブ入りした昨年からテコ入れをスタート。ユース、ジュニアユース、ジュニアの指導者を集めた研修会を複数回実施するなど、クラブとしての目線合わせを繰り返し行っているという。

「今、トップで出ている西原を例に挙げると、90分間の中でシュートやチャンスメークに絡むシーンは何度か見受けられますが、トランジション(攻守の切り替え)や1対1の守備、ハードワークといった部分には課題があります。

それはトップに上がってから身に付けることではなく、育成年代のうちから徹底させないといけないこと。それをアカデミー全体に徹底して、成長曲線を引き上げることが重要。そういったアクションがトップのJ1定着、上位躍進につながっていくと考えています」

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