知将・反町康治が斬る!2025年の「J1」が"予想外の団子状態"になっている2つの必然
もう1つのポイントは「チームとしての継続性」だ。
京都にしても、福岡にしても、前述のとおり、2010年代は“エレベータークラブ”という位置づけだった。が、京都は2021年にチョウ監督が就任して1年でJ1に上がり、今季で4年目を迎えている。
福岡にしても、長谷部茂利氏(現・川崎フロンターレ監督)が監督に就任した2020年にJ1昇格を決め、2021年から5年続けて最高峰リーグの地位を死守している。しかも、彼らは2023年YBCルヴァンカップで優勝。クラブの地位を一気に引き上げることに成功している。
「そうやってJ1に長く居続けると、質の高い選手も入ってくるし、しっかりとした基盤作りも進められる。そういった好循環が生まれやすいんです。
京都について言うと、ラファエル・エリアスを筆頭に、2024年パリ五輪代表の川﨑颯太、欧州数カ国で国際経験を積み重ねた原大智や奥川雅也のような選手が集まり、着実にチーム力がアップしています。
福岡も紺野和也ら“違いを作れる選手”がいますし、今季は他チームで活躍していた見木友哉や名古新太郎のような選手も加入した。今季で8年間J1に在籍している湘南もそうですが、最高峰リーグに定着するというのは、チーム強化を進めていくうえですごく重要なんです」
「継続的なチーム作り」が簡単ではない事情

反町GMがこう語気を強めるのも、2015年と2019年に2度、J1に上がりながら、1年で降格してしまった松本山雅時代の苦い経験があるからだろう。
当時の松本山雅はJリーグの中でも勢いのあるクラブだったが、有力選手をスカウトしようとしても色よい返事をもらえないケースが多々あった。反町氏が直々に出向いて説得しても「ノー」と言われることが少なくなかったという。
「私も元Jリーガーだったからよくわかりますけど、『新天地に行った途端、降格の憂き目に遭いたくない』という思いが選手たちは強い。その可能性が低いクラブを選ぶというのは当然の考え方です。
その結果、有望なタレントを集められず、1年で落ちてしまったら、Jリーグの分配金やスポンサー・観客収入も減ってしまう。クラブとして縮小傾向をたどり、負のサイクルに陥ることになります。
それとは逆の軌跡をたどっていくためにも、恒常的に最高峰リーグにいることが極めて重要。われわれ清水も今年からそういった上昇気流に乗っていかなければならないと痛切に感じています」
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