秘密は、背骨とあばら骨の部分を「沸騰するかしないか」の温度でやさしく炊く製法にある。豚のやさしい甘みだけを「鰹のだしをとるようなイメージで」煮出すので、透き通っていて匂いもあまりでないのだ。

チャーシューも重要なポイントだ。使用する豚は、スペインで中原社長が直接見極めて買い付け。これを各店舗で1日3回、4時間ごとに仕込み、できたてをラーメンに入れる。そうすることで脂や浸けた醤油、豚の旨味が染み出す。
さらに、チャーシューをつくったときに出るラードもそのままラーメンに入れる。この工程を経てはじめて、フレッシュでおいしいスープが完成するという。

「チャーシュー抜きで坂内のラーメンを食べると、パンチのない味になります。ラードも、普通のラーメン店は塊のものを購入し、溶かして使っている。それとは全くおいしさが違う」と中原社長は断言する。
こだわりの麺、スープ、チャーシュー。この3つでバランスをとって、「印象に残り、また食べたくなる味」を設計しているのだ。

あえてセントラルキッチンをつくらない
製造工程を聞いて気がついた人もいるかもしれないが、坂内には、セントラルキッチンがない。スープもチャーシューも店で1からつくる。一見非合理的にも思えるが……その理由は2つある。
1つは、鮮度へのこだわりだ。中原会長が、「ごはんも天ぷらも、なんだってできたてがおいしい」と信じており、それが大切な教えとして守られているそうだ。
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