紫外線もきっかけの1つ!?”唇ピリピリ”口唇ヘルペスの思わぬ要因と予防のポイントとは?「命に関わることもある」と医師が注意喚起

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かつては多くの人が家族間の食器の共有や、子どもへの口移しなどを通して、幼少期に自然に感染し、抗体を持った状態で成長していました。しかし現在ではこうしたことがなくなり、子どものころに感染する機会が減っているため、10代や20代になってから初めてHSV-1に感染するケースが増加しています。

この「思春期以降の初感染」は一般的に症状が強く出る傾向があり、唇の症状以外にも、口内炎や発熱、リンパ節の腫れを伴うため、医療機関を受診する若者が増えています。

さらに近年の日本では、HSV-1が性器ヘルペスの原因としても注目されていて、性器ヘルペスの初感染のうち、約20〜30%はHSV-1によるという報告もあります。

とくに若年層では、オーラルセックスなどの性的接触を介してHSV-1が性器に感染するケースが増加しており、もはや口だけの病気とはいえなくなっています。

●HSV-1感染の広がり方

HSV-1は通常、感染者の唾液や水ぶくれなどへの接触を通じて感染します。前述したように、多くは幼少期に、食器の共有などを介した日常的な接触によって、知らないうちに感染します。

体内に侵入したウイルスは、顔面の感覚をつかさどる三叉神経節の根元に移動し、そこで「潜伏感染」という形で長く潜み続けます。そして、冒頭で紹介した紫外線に加え、ストレスや発熱、月経、睡眠不足などがきっかけとなってウイルスが再活性化し、症状を引き起こします。

症状が治まっても感染力は残る

読者の方にぜひ知っていただきたいのは、口唇ヘルペスの発症には明確な段階があることです。

まず、ピリピリした違和感から始まり、これが「前駆期(ぜんくき)」と呼ばれる段階です。ウイルスは神経を通じて表皮へと向かい、複製を始めます。このときに腫れや痛みなどが起こります。

その後、48時間以内に小さな水ぶくれが群れるように表れます。これは体の免疫システムがウイルスと戦っていることを示しています。その結果として潰瘍やかさぶたができ、治癒へと向かいます。

多くの場合、発症から7~10日で症状は治まりますが、ウイルスによる表皮の病変が見えなくなったあとも、ウイルス自体は最大15日間ほど排出され続けることがあり 、感染力が残っている点に注意が必要です。

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