紫外線もきっかけの1つ!?”唇ピリピリ”口唇ヘルペスの思わぬ要因と予防のポイントとは?「命に関わることもある」と医師が注意喚起

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これからの時期になると、紫外線による日焼けがきっかけで口唇ヘルペスになった患者さんが、筆者の外来によく来られます。

HSV-1は感染すると神経に潜伏します。免疫の働きによってふだんは抑え込まれていますが、何らかのきっかけでウイルスが再び活性化すると、口唇ヘルペスを発症してしまうのです。

そのきっかけのうち、広く知られているのが紫外線で、両者の間には生物学的な仕組みが関係しています。

紫外線と関係する口唇ヘルペス

まず、紫外線には皮膚の免疫を一時的に弱める作用があります。とりわけB波(UV-B)は表皮にいる免疫を監視する細胞を減少させるため、潜んでいたHSV-1が再活性化してしまうのです。

また、紫外線はウイルスの遺伝子に直接、刺激を与えることも知られています。マウスを用いた研究では、紫外線を照射するとウイルスの複製が促進されることが確認されています。

紫外線はウイルスにとって目覚まし時計のような役割を持ち、眠っていたウイルスを目覚めさせてしまいます。

さらに、紫外線を長時間浴びて皮膚が「軽いやけど」のような状態になると、神経の末端が刺激され、潜伏中のウイルスが表皮に移動しやすくなる、ということも知られています。

ですので、口唇ヘルペス対策としても、日焼け止めのリップクリームをしっかり塗る、日傘などを使うといった紫外線対策が必要だといえます。

●口唇ヘルペスになりやすい人

口唇ヘルペスの感染率は、年齢によって大きく異なります。

過去の調査では、日本人全体の平均でおよそ60〜70%の人に感染経験がある(免疫の指標となる抗体がある)ことが報告されています。この抗体を持つ人の割合は、年齢が上がるほど高くなる傾向が見られました。

30歳以上では、約80〜90%の人がすでにウイルスに感染している一方で、20代以下ではその割合が40%未満にとどまっていました。このような世代間の違いは、衛生環境や家族内でのスキンシップの変化などが影響していると考えられます。

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