「野田・枝野」vs「小沢・江田」で立憲民主党が分裂の危機、減税めぐる対立で旧民主党の"悪夢"再び?

「トランプ関税」による物価高対策などをめぐり、与野党がそれぞれの立場や思惑で消費税減免の可否を論じている。この「減税」を着火点に、野党第1党の立憲民主党が分裂の危機に直面している。
党代表の野田佳彦元首相と枝野幸男元官房長官が、旧民主党政権時代の経験も踏まえて「減税による次世代への負担つけ回しは避けるべきだ」と主張しているのに対し、江田憲司元代表代行や小沢一郎元旧民主党代表らを軸に、党内多数の有志議員が「今こそ消費税減税が必要」と求めているからだ。
民主党分裂というかつての”悪夢”
そもそも、旧民主党政権時代の2012年夏に、当時の野田首相が「税と社会保障の一体改革」で野党だった自民・公明両党と協議し、5%だった消費税率を10%にまで段階的に引き上げることで合意した経緯がある。ただ、この合意をめぐって消費増税に反発した小沢氏らの集団離党で党が分裂、同年暮れの旧民主党政権の崩壊から自民党政権の復活につながった。
今回は逆に「増税」ではなく「減税」を めぐる党内対立だが、政界関係者の間で「基本政策での党内対立は、現在の立憲民主党の源流でもある旧民主党時代からの“お家芸”」と揶揄され続けてきたのも事実。それだけに、今回の「減税」をめぐる騒動についても「13年前の“悪夢”の再現で、絶好のチャンスとなった政権奪取への道を閉ざすことにもなりかねない」(政治ジャーナリスト)との厳しい見方が広がる。
もちろん、野田代表は党分裂の回避に向けて「党内の議論の推移を注視し、虚心坦懐に党内の意見を受け止めていきたい」と、柔軟に対応する姿勢もにじませる。しかし、立憲民主党の「創業者」である枝野氏は「もし代表が減税否定方針を変えるなら、支持はできない」と繰り返す。
党内の実力者の対立が深刻化すれば、「『夏の政治決戦』を前に党が空中分解の危機に陥る可能性」(立憲民主党の閣僚経験者)も否定できないのが実情だ。
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