「野田・枝野」vs「小沢・江田」で立憲民主党が分裂の危機、減税めぐる対立で旧民主党の"悪夢"再び?

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今回の「減税」の可否をめぐる立憲民主党内の動きを振り返ると、4月11日午後にスタートした次期参議院選挙での党の公約づくりに向けた経済政策に関する党内論議がきっかけだ。開催されたのは同党の財務金融部門会議・経済財政部門会議・税制調査会の合同会議で、約1時間半の論議では約40人の議員が発言したとされる。 

出席した議員によれば、「物価高に伴う経済対策をめぐる論議は消費税減税の可否が中心で、減税派の発言数が慎重派の3〜4倍 だった」という。

会議後、経済財政部門を統括する馬淵澄夫元国交相は、記者団に「経済対策としての減税は強い要望があった。(一律で)5%の減税と、食料品ゼロ税率の話はかなり強めに出た」と明言。その一方、「消費税の減税を安易に言うべきではない。社会保障の財源だ」などの慎重意見が出たことも付け加えた。

同会議に先立つ同日午前に記者会見した野田代表は、自身の「減税」に対する考え方を問われたが、踏み込んだ発言は避けた。これについて、野田氏周辺は「党内多数派となりつつある『減税派』に配慮しないと、党内が持たない」  との不安を漏らした。

枝野氏は「減税派は別の党をつくれ」と“口撃”

こうした党内の消費税減税論を強い言葉で牽制したのが枝野氏だ。合同会議翌日の4月12日に地元・さいたま市での講演で「税金だから誰だって安いほうがよいに決まっているが、借金でやったらインフレになり、次の世代にツケを回すことになる」などと“減税派”の動きを厳しく批判した。

さらに枝野氏は、立憲民主党の消費税負担軽減策である「給付付き税額控除」について、「わかりにくいことを説明するのが政治家の仕事。消費税分をキャッシュバックするのはわかりにくいから説明できないと、わかりやすい政策を取るなら政治家を辞めろ」と口撃した。

そのうえで、2024年の党代表選挙で「給付付き税額控除」を主張した自身と野田氏が決選投票に残ったことを指摘。「党として決着はついている。野田さんは同じ思いでいてくれるので、うちの党は大丈夫だと思うが、私はポピュリズムには走らない。減税を言っている人は諦めるか、別の党をつくるか、どちらかだ」と言い放った。 

こうした枝野氏の一連の発言に対し、減税推進派の有志たちは15日に開いた会合で、「物価高を受けて当分の間、食料品の消費税率をゼロにするよう求める」との内容の提言をまとめて対抗。リーダー格の江田氏は会合の冒頭で枝野氏の発言に言及し、「大変残念な発言で、党是である多様性を尊重するという理念にも反しているし、政策論議を封殺しようというのは看過できない」と厳しく反論した。

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