「野田・枝野」vs「小沢・江田」で立憲民主党が分裂の危機、減税めぐる対立で旧民主党の"悪夢"再び?

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小沢氏も同日「(枝野氏の発言は)非常に失礼、無礼、傲慢(ごうまん)な印象を与える」と指摘するなど、対立は一段と先鋭化しつつある。  

野田氏は「決まったら従うという党文化」を求めるが…

この「枝野発言」に対し、党内からは「政策ごとに党が分裂していたら、政権交代なんて夢のまた夢だ」(若手議員)との声が相次ぐ。野田氏周辺は「野田、枝野両氏は互いに信頼している。減税に慎重な野田氏が代表として言えないことを、あえて枝野氏が強めに言ったのではないか」と解説するが、論争はエスカレートするばかりだ。

政界では、日本維新の会や国民民主党が物価高対策として消費税減税の実施を求めている。対して、立憲民主党はこれまで、中低所得者の消費税負担の一部を税額控除と給付で軽減する「給付付き税額控除」を掲げてきた。

これについて、野田氏は「今も到達点だと思っている。 給付付き税額控除を変えろという話はないと思う。逆進性対策としては軽減税率より正しいと思っている人が多い」と語る。 

そうした中、立憲民主党の内部では、野田氏の最終決断をめぐって「最後は減税派に妥協する」と「慎重な姿勢は変えない」との相反する見方が交錯する。 野田氏自身は 「私は党を分裂させたいなどとはまったく思っていない。そこはよくいろいろなことを包含しながら決断をしていきたい」 と繰り返すが、決断のタイミングはまだ不透明だ。

それも踏まえ、野田氏は 周辺に対し「一定のプロセスを経て、決まったならば従うかどうかが、前の民主党と違いがあるかどうかになる。深い反省をしている人がいっぱいいると思うので、それを踏まえた党運営をしていきたい」と漏らしているという。

約3カ月後と見込まれる次期参院選は「事実上の政権選択選挙になる」(閣僚経験者)との指摘も少なくない。政権交代を目指す立憲民主党が、減税をめぐる党内対立を乗り越えて、挙党一致で選挙を戦えるかどうかが、選挙結果とその後の政局の展開を決める。それだけに、首相経験者である野田氏のリーダーとしての力量と統率力が厳しく問われている。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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