【現地ルポ】大阪・関西万博、深刻トラブル多発した「波乱含みの開幕」に 市民は万博よりも”グルメ”に関心

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万博よりも身近なグルメイベントへ

「大阪・関西万博」と同時開催の連動イベントとして、大阪市は「大阪グルメEXPO2025」(4月12日〜10月13日)を大阪城公園 太陽の広場で開催している。万博期間中に来阪する観光客に向けて、大阪観光の主要な魅力である「食」を楽しんでもらうことを目的にする「食の祭典」だ。

その初日を訪れると、こちらも開場前から行列ができる盛況ぶりだった。会場内はあっという間に家族連れや若い世代のグループ、外国人観光客などであふれ、有名グルメガイド掲載店や、大阪で愛され続けるソウルフードの人気店などのグルメに舌鼓を打った。

来場者に話を聞くと、大阪城公園に花見に来た市内の家族連れ4人や会社員の女性2人組のほか、グルメEXPOのために寝屋川市から来た家族連れ3人、お笑いイベント目当てで堺市から来た会社員と大学生の20代女性2人組など、大阪市内および近隣から週末にグルメを楽しもうと気軽に来場している人が多かった。

彼らに共通するのは万博への関心の低さだ。グルメEXPOが万博の連動イベントと知る人は少なく、万博へ行く具体的な予定がある人もほぼいない。ふだんの会話にも万博関連の話はほとんど上らず、ネットニュースなどの報道にも触れていなかった。

「万博は何があるのかよくわからないから、興味が湧かない。でも、気になるといえばなるかも(笑)。わざわざ行く予定はいまのところないけど」(20代会社員)という声もあがるように、ハードルの高い万博よりも、自分たちの生活に身近で気軽に足を運べるグルメイベントのほうに興味が向くようだ。

万博の成功に欠かせない要素

一方、訪れた万博とグルメEXPOで共通するのは、大阪のお笑いをはじめエンターテインメントが来場者を盛り上げていたことだ。

万博では、予約不要のオープンスペースで行われる「よしもと waraii myraii 館」のお笑いステージが、パビリオン周辺まで国内外の来場者に取り囲まれる盛況ぶりで異彩を放っていた。

国内外の観客が、お笑いイベントの周辺を埋め尽くした(画像提供:吉本興業)

グルメEXPOは、2カ所の食事テントにそれぞれステージが設けられ、漫才などのお笑いライブや吉本新喜劇、プリンセス天功イリュージョンショー、音楽ライブなどバラエティに富んだパフォーマンスが予定されている。初日は漫才や大道芸人のノンバーバルショーが会場をにぎわせていた。

そうした盛り上がりを目にし、「大阪の笑いこそ、関西のエンターテインメントの華であり、それは世界に誇る関西現代文化でもある」ことを感じた。食や文化など関西のさまざまなイベントにエンターテインメントが混在するのは、そのためだろう。

グルメEXPOで話を聞くと、お笑いイベントを見るために堺市から来た前出の女性2人は「万博にも行きたい」と語っていた。また、寝屋川市から来た家族連れの女子中学生は「万博に興味ある。楽しそうだから行ってみたい」と話す。

万博の成功に向け、動員を伸ばすカギになるのは、若い世代を中心にした“万博に無関心のノリの良い関西人”であり、そのフックになるのはエンターテインメントかもしれない。

武井 保之 ライター

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たけい・やすゆき / Takei Yasuyuki

日本およびハリウッドの映画シーン、動画配信サービスの動向など映像メディアとコンテンツのトレンドを主に執筆。エンタテインメントビジネスのほか、映画、テレビドラマ、バラエティ、お笑い、音楽などに関するスタッフ、演者への取材・執筆も行う。韓国ドラマ・映画・K-POPなど韓国コンテンツにも注目している。音楽ビジネス週刊誌、芸能ニュースWEBメディア、米映画専門紙日本版WEBメディア、通信ネットワーク系専門誌などの編集者を経て、フリーランスとして活動中。

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