【現地ルポ】大阪・関西万博、深刻トラブル多発した「波乱含みの開幕」に 市民は万博よりも”グルメ”に関心
食事は人気店には人が集中するが、店舗の数は多くキッチンカーもあるので、ランチは11時台であれば数分待ちほど。とくにテイクアウトは早いし、座って食べられるベンチも多い。
一方、未来型万博店として出店された「スシロー」は、午前10時半の時点で295組、3時間待ち。隣の「えきそば」は同時刻で1時間弱ほどの待ち時間。その近くのリングサイドマーケットプレイス西の店舗は午前11時半の時点で20分待ちくらい。店を選ばなければ、それほど困ることはなさそうだ。

ただ、午後に入って雨が強くなると、状況が一転した。雨をしのげる大屋根リングの下は一気に人が集まり大混雑。さらに、横風が吹くと、そこも風雨が吹きさらしになる弱点を露呈。同時に人が向かったのはレストランなど食事店舗。荒天のなか、各店舗にもトイレにも行列ができた。
また、午前中の入場ゲート付近で携帯電話の通信環境が悪化し、入場用QRコードが表示できなくなり、一部で入場が滞るトラブルがあった。博覧会協会は対策に取り掛かっている。
そして、この日最大のトラブルになったのは、観客の帰途時間の集中による大混雑だ。雨足がより強くなった夕方、その時間から入場する観客と帰途につく観客で混乱する夢洲駅が規制され、駅に向かう大勢の観客が東ゲート周辺を埋め尽くした。会場を出るまでに2時間かかったという声もあり、海の会場への線の細さが改めて大きな課題として浮き彫りになった。
184日間の会期への波乱含みの船出
万博はいくつもの課題を抱えており、開催前もネガティブな報道が目立っていた。
とくに厳しい視線が向けられているのが、会場建設費の高騰だろう。当初の予算より1000億円を超える増額となる一方、前売り券販売は4月11日時点で約900万枚と、目標の1400万枚の65%ほどにとどまっている。損益分岐点とされる1800万枚の半分の水準となり、会期中に黒字化できるかは疑問が残る。赤字になれば、国や市の負担が増えることになる。
また、昨年3月にメタンガスによる爆発事故が起きている区画で、基準値を超える濃度のメタンガスが4月6日に検出されたことも伝えられている。博覧会協会は対策を強化し、直ちに危険はないとするが安全への不安は残る。
パビリオンの建設遅れは、かねて話題になっていた。158カ国・地域、7つの国際機関が参加し、会場には180以上のパビリオンが出展するが、そのうち5つのパビリオンの建設が間に合わず、開幕日にオープンできなかったことが伝えられている。

大阪・関西万博は、10月13日までの184日間にわたって開催されるが、初日のトラブルとあわせても、波乱含みの船出になったことがうかがえる。
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