関税などトランプの政策は世界を「脱構築」し新たな世界秩序を生み出す一歩だ、日本はそんなトランプの考えに対抗・備えることができるか

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となると西欧の反面教師の役割を継ぐのはどの国か。それは中国である。中国が西欧批判の矢面に立つのである。つねに敵をつくらなければ欧米が存在しえないとすれば、当面の敵は中国となるであろう。

トランプは、反ロシアという戦後続いてきた冷戦構造をここで終わらせ、中国を封じ込めようと考えているのだろうか。

ウクライナ戦争、ガザ問題は日本の他山の石だ

そうなるとアメリカは、ウクライナでロシアと手を組んだ後、台湾で新しい作戦に出る可能性があるかもしれない。とりわけ心配なのは、日本近郊の台湾である。

トランプは、台湾がアメリカと離れすぎているため、中国との戦争に直接関与する意志はないだろう。そうなると、ウクライナのような代理戦争を強いられるのは、日本ということになりかねない。

こうなると、日本もウクライナ問題やガザ問題を、国際社会の「他山の石」としてしっかりと学んでおいたほうがいいかもしれない。考えたくはないが、仕込みの大きなトランプのことである、その罠に日本が入り込まないという保証はないのだ。

戦争が嫌なら、日本に残された道は、東アジアを日本自ら脱構築し、アメリカの罠にはまらないようにするしかない。 

的場 昭弘 神奈川大学 名誉教授

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まとば・あきひろ / Akihiro Matoba

1952年宮崎県生まれ。慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。日本を代表するマルクス研究者。著書に『超訳「資本論」』全3巻(祥伝社新書)、『一週間de資本論』(NHK出版)、『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』(以上光文社新書)、『未完のマルクス』(平凡社)、『マルクスに誘われて』『未来のプルードン』(以上亜紀書房)、『資本主義全史』(SB新書)。訳書にカール・マルクス『新訳 共産党宣言』(作品社)、ジャック・アタリ『世界精神マルクス』(藤原書店)、『希望と絶望の世界史』、『「19世紀」でわかる世界史講義』『資本主義がわかる「20世紀」世界史』など多数。

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