関税などトランプの政策は世界を「脱構築」し新たな世界秩序を生み出す一歩だ、日本はそんなトランプの考えに対抗・備えることができるか

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2025年4月10日木曜日、アメリカ・ニューヨークのニューヨーク証券取引所(NYSE)のフロアで働くトレーダーたち。トランプの関税攻勢に株価も乱高下している(写真・2025 Bloomberg Finance LP)

一難去ったらまた一難、トランプ旋風が吹き荒れている。ウクライナ和平交渉におけるアメリカのロシア接近は、世界を驚かせた。そしてNATO(北大西洋条約機構)からのアメリカの脱退を示唆する、これは戦後冷戦構造を吹き飛ばす一撃だった。

そしてイスラエル首相ネタニヤフの訪米とイランとアメリカとの対立、これもガザでの戦争が収まらない中で、新たな戦禍の拡大の恐れがある問題だ。世界はここでも、この導火線が世界戦争に拡大しないかと戦々恐々である。

情報鎖国は日本の伝統か

しかし、太平の世を謳歌しているかに見える日本は、こうした出来事の外にいて、相変わらず脳天気な大阪・関西万国博覧会やフジテレビの問題といった国内問題にしか関心が及んでいない。人々の検索項目の上位に国際問題が上がることは、アメリカプロ野球MLBの大谷翔平選手の活躍(日本の問題だが)以外ほとんどない。

日本人が日本の問題にしか関心がないというのは、長い鎖国の伝統なのであろうか。福澤諭吉は、1880年代危機が迫る中、日本人の国際問題への無関心に、檄を飛ばしていた。その言葉を引用するとこうだ。

「もはや人民もただ日本国内のことにのみ局促して外国のことについてはすこしも顧慮せざるがごとき迂闊なることあるべからず。よろしく国内の小利害をさしおくも、こと、外交に関するとあれば、すみやかに全力をこの点に集め、深く全国の大利害に注意を加えざるべからざるなり」(「外交の思想養成せざるべからず」『福澤諭吉著作集』第8巻、慶應義塾大学出版会、284ページ)

 

朝鮮半島と中国へ欧米列強が押し寄せる中、国内の小事にうつつをぬかしている日本人の蒙を啓いたのである。歴史的に見れば、福澤が言うとおり、1880年代の世界は激動の時代であったのだが、当時の日本人の多くは国内問題にしか興味がなかったのである。

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