関税などトランプの政策は世界を「脱構築」し新たな世界秩序を生み出す一歩だ、日本はそんなトランプの考えに対抗・備えることができるか

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最近イギリス・スコットランドの歴史学者であるニーアル・ファーガソンが、外交誌『フォーリン・アフェアーズ』(「アメリカは新しい冷戦といかに戦うべきか。トランプはレーガンに学ぶべきだ」2025年1-2月号)に、ドナルド・トランプはロナルド・レーガンに似ていると書いていた。なるほど名前も似ている。

レーガンのソ連・東欧崩壊のシナリオといい、宇宙戦争計画といい、新自由主義による減税と高利子率といい、はったりとも思える素人くさい大胆な政策はトランプとよく似ている。レーガンは1981年に暗殺未遂事件が降りかかったが、ここもトランプと同じである。

レーガン大統領とトランプの類似性

1980年代、この政策に他の国の人々は驚かされ、先行きが見えなくなり、付け焼き刃の政策で対応して、痛い目にあった経験がある。

 

その結果、ベトナム戦争で疲弊したアメリカ経済は復活し、アメリカ最大のライバルであったソ連・東欧社会主義経済圏は崩壊し、強いアメリカが戻ってきたともいえる。

もちろんそのおかげで日本は、輸出を促進していた円安を回避するために国内需要の拡大を行い、その結果、国営企業の土地売却などで大バブルを創出し、その後遺症に今でも苦しんでいるのである。

レーガンも、定石を使わなかった。だからこそ、世界はその隠された意味に恐怖を抱き、いつのまにか思わぬ結果を生み出し、最後にはアメリカに屈服することになったのである。

トランプもその手を使うというのか。

「私はものごとを大きく考えることが好きだ。子供の頃からそうしてきた。どうせ何かを考えるなら、大きく考えたほうがいい」(『トランプ自伝』相原真理子訳、ちくま文庫、64ページ)

何事も大きく考えるというトランプの人生訓の中に、レーガン同様の破天荒な政策の秘密があるのかもしれない。トランプの政策に人々が度肝を抜かれるのは、その打つ手が一見悪手に見えるからである。

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