SNSで「本当の人脈」は到底作れない! 磨くべきは、"編集力"
「一生かけて一人の友達ができたら御の字。まだ見ぬ遠くの人脈を求めるより、今ある縁に目を向け、1年の関係より2年、2年より3年と、長い関係を築くことのほうがはるかに尊いと思う」
天毛さんにとって、一般的にいわれる「人脈」のイメージは、誰かの山を登るもの。2合目、3合目などにさまざまな人が配置されていて、それらの人と仲良くなって頂上を目指す。それよりも、自分で山をつくりたい。付き合う人も、自分が本心から付き合いたいと思う人だけに限りたい。天毛さんは言う。
「情報を得ようと思わなくても自然と入ってくる時代。必要以上に摂取すると依存症になってしまう。人脈もそうで、強力なフィルタリングを設けたほうがいいと思うんです」
結果的に人生が広がる
SNSなどの発達で簡単に人とつながれる時代だからこそ、膨大なつながりから本当の仲間を見つけるための“編集力”が必要だ。
自らつながりの場を構築する、『出逢いの大学』著者、千葉智之さん(42)はこう言う。
「人脈というと、見返りを求めて人とつながるネガティブイメージがある。僕は違う職業、違う考え方のいろんな人と話したりすることが好きで、その人たちとつながるうちに、オプションとして人生の幅が広がった」
大学卒業後、大手建設会社に就職した千葉さん。勤務地は「人よりミカンが多い島」などだったが、14年前に広島から東京に転勤に。人脈ゼロの状態から数えきれないつながりをつくった。
上京当時は、深夜まで仕事漬けで、視野が狭かった。同じ業界以外の人と話したいと渇望し、自らSNSで呼びかけ、ランチ会や夜の飲み会を企画。話が広がり面白くて仕方なかった。通っていたビジネススクールの友人の紹介で、総合情報メディアに転職。会合の輪はどんどん広がった。
「多くの人とつながりたいなら、会の主催者になるといい。ただ、手段が目的になるとダメ」
いざという時に想起
出会った人との関係がこの先どうなるかは、コントロールできない。Aさんとの出会いがきっかけで、Bさんと知り合ったり、別の機会に出会ったCさんとAさんが友人だと知り話が盛り上がったり……。
「見返りを求めないほど人脈が広がる。一方で、人とのつながりは会った回数でもある。大切なのは、自分が楽しむこと、出会いのチャンスを1回限りの打ち上げ花火にしないこと」
人脈を広げるには、自分が相手の記憶に残る存在になることも大事だ。「経営者200人のかかりつけ医」「ベンチャー企業のゴッドマザー」などの異名を持つ、コンサルティング会社「プロノバ」社長の岡島悦子さん(49)はこう断言する。