23区なのに"時代に取り残された"ようにひっそりと佇む街「京成立石」。駅前の大規模再開発で消滅する「のんべえ文化」の最後を歩く

✎ 1〜 ✎ 11 ✎ 12 ✎ 13 ✎ 14
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「会社は先代から数えると50年以上ですね。当時は活気があってね。荒川からこっちは空襲でも焼けなかったから、昭和の町並みが多く残っているんですよ。映画の撮影なんかもよく来ていた」(眞壁さん)

たしかに先ほどの食堂も建物は戦前からあると話していた。

「昔は町工場がたくさんあって、寅さん(映画『男はつらいよ』)に出てくるような家だらけだった。再開発が始まってからは、そんな風景もなくなってきたけど、街は明るくなるからいいんじゃないかなと思いますね」(同上)

家賃について聞くと、若手社員の三橋侑也さんが答えてくれた。

「再開発のために土地価格は上昇気味ですけど、古い物件も多いから賃貸のほうはまだお手頃物件を紹介できますよ。1K、1DKの18㎡くらいからのシングルタイプなら5万円ほどからのご相談ですね。2DK以上、35㎡くらいからのファミリータイプなら8万円くらいからのご相談です」(三橋さん)

再開発に期待することを尋ねると、不動産屋らしい答えが返ってきた。

「そうですねぇ、街は当然変わっていくと思うんですけど、どの程度変わるのか。もしかしたら亀戸くらいまで開けるのか、それとも亀有くらいでとどまるのか。当然これから人の出入りが激しくなるから、不動産屋としては忙しくなるだろうけど、一方で少し寂しい気もしますよね」(同上)

三橋侑也さん、眞壁由里さん
日商不動産株式会社の三橋侑也さん(左)と眞壁由里さん(右)。「おれは恥ずかしいから写真は若いのだけな」と眞壁良幸さん(筆者撮影)

せんべろの面影を探す

店を出て、商店街を歩いてみる。前述の通り、駅の南口には平行に2つの商店街が並んでいる。どちらも130mほどのアーケード街だ。駅に向かって右が「立石駅通り商店街」で、左が「立石仲見世」である。

マップ
赤く囲ったところが商店街。右が「立石駅通り商店街」で左が「立石仲見世」(国土地理院 電子国土Webから筆者作成)

地元に住んで40年という買い物客と話していると、こんな話題が出た。

「ああ、◯△さん(先に紹介した食堂)に行ったのかい。うまいし安いから地元じゃ有名だよ。あそこは古い店だよ。建物は道路が舗装されるより前からあるんで、入口んところが道路より低いんだ」

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事