感染者は3年前の10倍以上!「百日咳」爆発的流行に潜む原因は「ワクチン効果の誤解」だった?――特に乳児は重症化しやすいので注意が必要

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2012年11月からは4種混合ワクチン(ジフテリア・百日咳・破傷風・ポリオ)が、2024年4月からは5種混合ワクチンが定期接種となり、広く接種されています。

百日咳の治療で問題となる「耐性菌」

最後に百日咳治療の問題点について、触れたいと思います。

生後6カ月以上の患者さんにはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系抗菌薬を用いて治療します。咳が出始めてから3週間ほどは百日咳菌が排出されますが、適切な抗菌薬による治療により、服用開始から5日後には菌は検出されなくなります。

ただし、最近はこれらの抗菌薬が効かない耐性菌が出現し、耐性菌による感染者数が増えていることが問題視されています。その場合は、別の適切な抗菌薬を用いて治療することとなります。

耐性菌の出現の原因は抗菌薬の濫用です。風邪症状で受診した人全員を抗菌薬で治療すれば、耐性菌は必ず出現します。つまり使い勝手がよく、広く用いられている抗菌薬から耐性ができてきます。

抗菌薬は必要な場合にのみ用いることが重要です。我々医師も気を付けなければならないですし、患者さんもむやみに抗菌薬をほしがるようなことがないよう、お願いしたいところです。

幸い、耐性菌でもワクチンで防ぐことは可能です。抗菌薬の耐性化が進む現代では、予防接種で感染症を予防することが一層重要となります。

久住 英二 立川パークスクリニック院長

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くすみ えいじ / Eiji Kusumi

1999年新潟大学医学部卒業。内科専門医、血液専門医であり、旅行医学やワクチンに関する造詣が深い。国家公務員共済組合連合会虎の門病院で内科研修ののち、臍帯血移植など血液がんの治療に従事。血液内科医としての経験から感染症やワクチンにも詳しく、常に最新情報を集め、海外での感染症にも詳しい。2024年12月に立川高島屋SC10階に内科、小児科、皮膚科の複合クリニック「立川パークスクリニック」を開業した。

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