今のところパーキンソン病を完治させる治療法はありません。そこで、できるだ進行を遅らせる治療が中心となり、症状の程度によって適切な薬や手術を選択することになります。
主な薬はドーパミンを補うためのもので、ドーパミンを補う薬やドーパミンに似た作用をもつ薬などいくつか作用が違うものが使われています。また、飲み薬だけでなく、貼り薬や注射薬など、剤形もさまざまです。
カギは「自分に合う薬が見つかるか」
肝心なのは、自分に合う薬が見つかるまでの過程です。
薬を開始したら、誰もがすぐに効果が表れるというわけではないのが悩ましいところでもあります。ただ、すぐには効かなくても、薬の調整を繰り返すなかで効果が出ることもあります。
そのため、効果が出ないからといってすぐにあきらめず、症状と効果を主治医にしっかりと伝えながら、自分に合った薬のバランスを調整していくことが大切です。
A子さんの母親の場合、薬が合わずに症状が改善しない期間が1年近く続き、悩んだ揚げ句、主治医を変える決断をしました。
前述したように、パーキンソン病は長い時間をかけて少しずつ進行する病気、つまりずっと付き合っていかなければならない病気です。それは主治医とも長く付き合っていくという意味でもあります。
なかなか症状が改善しなかったり、医師と合わないと感じたりしたときは、治療方針についてセカンドオピニオンを利用する、転院するのも選択肢の1つでしょう。
母親は、新しい主治医が処方した薬が合ったこともあり、症状が落ち着きました。しかし、病気はゆっくりと進行していきます。そして通院が難しくなった段階で在宅ケアに移り、主治医と在宅医の2本立てでケアを受ける生活が始まりました。
在宅医療が加わると、患者さんの生活の様子や日常的な問題を医師が確認できるため、より細かく薬の調整がしやすいという利点もあります。
特にパーキンソン病の場合、「毎食後、同じ薬を服用すればOK」というのとは違って、症状が出やすい時間と出にくい時間があるのも特徴の1つ。薬を服用するタイミングの見極めも大切です。
そうした点を、患者さんの生活に入って症状を見る在宅医が確認し、専門的な知識ある主治医と連携することで、より1人ひとりの患者さんに合った薬の調整をすることができます。
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