「あのときが一番つらかった」「またいつもの…」パーキンソン病を発症した80代母親を介護した娘の”本音” 診断までの経過や治療法、治療費は?

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最後に治療費についてですが、一般的に、パーキンソン病は難病法による医療費助成を受けることができます。難病法による医療費助成は所得状況に基づき、月ごとの自己負担上限額が設定されており、上限額を超えた自己負担額は全額助成されます。

A子さんの母親も医療費助成の対象だったため、訪問診療や訪問看護、訪問リハビリなどの医療サービスを、月2500円の自己負担額で受けることができました。

特に、症状がゆっくりと進行するパーキンソン病において、運動療法は、生活の質を向上させるためにも欠かせない治療法の1つです。筋力トレーニングやストレッチ、有酸素運動などを通じ、筋力や柔軟性、バランスを改善し、身体機能を維持させることにつながります。

こうした運動療法を行うための訪問リハビリも、負担額を心配しすぎることなく受けられます。

タレントのみのもんたさんは、食事をのどに詰まらせたことが亡くなられた原因とのことですが、A子さんの母親も誤嚥性肺炎で昨年、帰らぬ人となりました。

不調が悪化したら迷わず受診を

パーキンソン病の場合、病気そのものが原因で亡くなるというわけではなく、嚥下機能の低下など、身体機能の衰えが原因になるケースが多いです。確定診断後も長く生きられる患者さんも珍しくありません。

パーキンソン病で見られる症状のように、原因がわからない不調が長く続いているという場合、加齢以外の要因が潜んでいる可能性もあります。

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そのため、受診した際に一度「加齢が原因」と言われていたとしても、症状が悪くなってくる場合には、再度かかりつけ医に相談してみましょう。原因がわかれば、根治することはできなくても、症状を改善させる術が見つかる可能性もあります。

「加齢だから仕方がない」とあきらめず、何かほかに原因があるかもしれないと疑ってみる姿勢も大切です。

(構成:ライター・松岡かすみ)

中村 明澄 向日葵クリニック院長 在宅医療専門医 緩和医療専門医 家庭医療専門医

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なかむら あすみ / Asumi Nakamura

2000年、東京女子医科大学卒業。国立病院機構東京医療センター総合内科、筑波大学附属病院総合診療科を経て、2012年8月より千葉市の在宅医療を担う向日葵ホームクリニックを継承。2017年11月より千葉県八千代市に移転し「向日葵クリニック」として新規開業。訪問看護ステーション「向日葵ナースステーション」・緩和ケアの専門施設「メディカルホームKuKuRu」を併設。病院、特別支援学校、高齢者の福祉施設などで、ミュージカルの上演をしているNPO法人キャトル・リーフも理事長として運営。近著に『在宅医が伝えたい 「幸せな最期」を過ごすために大切な21のこと』(講談社+α新書)。

 

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