
連載「だから、ひとり暮らし」では、増え続ける単身世帯のライフスタイルを取材する。ひとり暮らしの背景は多様で、個々の事情をたどると、データには現れない社会の姿が見えてくるのだ。
単身赴任という働き方も、日本のひとり暮らしの大きな要因の1つ。リクルートワークス研究所によると、2023年の単身赴任経験者は推計43万人にのぼる。今回取材した宮本陵太朗さんも、単身赴任をしているひとりだ。
北海道出身で、ここ10年間は単身赴任生活を続けている。妻と4人の子どもたちは静岡県富士市の自宅で暮らし、自身は神奈川県横浜市内でひとり暮らし。趣味のDIYは玄人級で、コロナ禍の最中には富士市の近く、富士山のふもとに15万円で土地を買い、ミニ小屋をセルフビルドした。
今、宮本さんが暮らす"神奈川の拠点"で話を聞いた。
単身赴任という名の旅。その拠点としての家
単身赴任で暮らすマンションの一室に足を踏み入れると、そこには圧倒的な物量を擁する空間があった。

壁一面の有孔ボードには、登山用具やアウトドアグッズが所せましと吊るされ、オープン収納の棚には、食器やアウトドアグッズが重ねられている。まるで展示されているようでもあるが、整然としすぎず、それぞれが使い込まれているのが印象的だ。
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