カリスマ現代文講師が語る「読める人」と「読めない人」の二極化に隠された危機。大学入試の合否を分ける「シン読解力」とは?

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「国語力がすべての科目の土台になる」とよく言われます。実際に理科でも数学でも、テキストや問題文を正確に読解できなければ、実際に問題を解答する段階に立ち至れません。

約50万人が受験する大学入試の共通テストでも、今年(2025年)から大問の3番として「実用的な文章」が導入されました。

また、日本だけでなく、世界的規模で見てもPISAをはじめとする学力調査が同じような構造を持っていて、読解力への問題意識がワールドワイドであることがわかります。

読む力の底上げが国力アップにつながる

一方で、理系の人たちからは、「国語なんて目の前に書いてあるとおり読めばいいのに、何のために勉強するんだ」と思われてしまうこともあります。国語は、学習の必要性がことさら理解されにくいのです。

それが、読解力についてきちんと議論されなかった理由でもあると思います。しかし、新井先生の『シン読解力』で、教科書を読み解く力を育むことこそ喫緊の問題であり、どれだけ読めない人がいるのか、統計データというエビデンスをもとにきちんと提示したことが画期的でした。

そして、新井先生たちが開発されたリーディングスキルテスト(RST)の結果によると、「シン読解力は学校教育では劇的に向上しない。だからこそ特別なトレーニングが必要だ」と書かれている。

これは見方を変えると、「人間の認知機能が元来その程度のものである」ということを証明しているかのように、僕には読めました。

この国の文化的な基盤として、読む力をちゃんと活性化して国力を上げていくためにはどうすべきか。社会で戦える人材を育成するにはどうすればいいか。そう問われている気がしました。

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