
成績が上がらないのは、頭が悪いせいではありません(写真:cba/PIXTA)
AIの限界と、日本の中高生の多くが中学校の教科書を正確に読めていないことを明らかにした衝撃の書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』から7年。読解力を計測するリーディングスキルテストの受検者も当時の2万5000人から50万人に増え、日本人の読解力について、より普遍的な研究と分析が進んだ。著者が新著を通して、一番伝えたかったのは何なのか。『シン読解力』から一部抜粋・編集してお届けする。
忘れられない高校時代の気まずい思い出
私には今も鮮明に覚えている、気まずい思い出があります。
高校時代のある昼休みのことでした。「国語って、どうやって勉強したらいい?」と、同級生の女の子に聞かれたのです。それほど親しい仲ではない私に、そんなことを聞くなんて、よほど悩んでいたのでしょう。彼女の手には、国語のノートが握られていました。
見せてもらうと、整った字で、国語の板書が写されていました。一方の私は、板書を写すどころか、国語のノートをそもそも作ってさえいませんでした。予習も復習もしていません。にもかかわらず、国語の成績はいつもクラスで一番でした。
どうしてだろう……と慌てて考えてみたのですが、何も思いつきません。咄嗟に私の口から出た言葉は、「文学読んでみたら?」でした。それが正解だという理由も自信もありませんでしたが、当時の私にはそれ以外の答えが見つからなかったのです。
トピックボードAD
有料会員限定記事
キャリア・教育の人気記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら