「教科書は読めて当たり前」が子どもをダメにする 学校では教えない、学力を決める「シン読解力」

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読解力
日本人の学力と人生を決める「シン読解力」とは(写真:buritora/PIXTA)
AIの限界と、日本の中高生の多くが中学校の教科書を正確に読めていないことを明らかにした衝撃の書『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』から7年。読解力を計測するリーディングスキルテストの受検者も当時の2万5000人から50万人に増え、日本人の読解力について、より普遍的な研究と分析が進んだ。「文学を鑑賞する」「行間を読む」こととは異なる「シン読解力」とは何か。新井紀子氏の新刊『シン読解力』から一部抜粋・編集してお届けする。

読解力を測る「リーディングスキルテスト」

「読解力が重要だ」と言われると、「国語教育が重要」「読書が学力のカギになる」と思うのが普通です。しかし、行間から主人公の気持ちを推し量り文学を鑑賞するための一般的な「読解力」と、教科書を書いてある通りに理解するための「読み解く力」とは別の能力なのです。そして、後者の「読み解く力」こそが、日本人の学力と人生を決める「シン読解力」なのです。

シン読解力: 学力と人生を決めるもうひとつの読み方
『シン読解力: 学力と人生を決めるもうひとつの読み方』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

私は2011年から、AIの可能性と限界を探るため、「ロボットは東大に入れるか」と銘打った人工知能のプロジェクトを10年間率いてきました。そのプロジェクトで開発された通称「東ロボ」というAIは、2013年から4年間、大学入試センター試験(現:共通テスト)と東京大学の本試験の模試にチャレンジしました。

「東ロボ」が東大合格レベルに達することはありませんでしたが、その「能力」は有名私立大学の合格圏内に達しました。

同時に私は、「東ロボ」に日本語を学習させるために試行錯誤したノウハウを応用して「リーディングスキルテスト(RST)」を開発し、日本人の「読解力」について、大がかりな調査と分析を始めました。

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