「4年で100店舗以上が閉店」「いきなりステーキ運営も迷走だった」幸楽苑。大量閉店を経て、”徐々に復調”してきているワケ

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昇氏が社長に就任してからも不調は変わらず、51期、52期、53期と3年連続で赤字を計上してしまった。この責任をとって昇氏は社長を辞任。傳氏に経営が戻ってきた。

「安くてうまい」路線と「町中華化」

傳氏は「原理原則」に戻った経営を標榜し、メニュー改革を行う。幸楽苑の強みはロードサイドにあり、ドライバーなどのおひとり様需要にあった。穿ったラーメンのメニューは廃止し、定番の中華そばに注力して2023年には大規模な価格改定を実施。

(出所:同社の決算説明会資料より)

昨年の決算説明会で傳氏は「幸楽苑の主力商品は味噌、塩、醤油らーめんの490円、590円、690円、790円、890円の帯の中に収まっていれば、商品を選びやすい等々の原理原則があります」と述べている。

さらに、セットメニューに関しては値下げを実施。セットメニューが豊富なことは先ほど述べた通りで、「安くてうまい」方向で受容されていた同社の特徴をさらに伸ばした。

一方、傳氏がうまいと思わせるのは、単にそれまでの幸楽苑に戻したわけではないことだ。いわゆる、ラーメン一本足打法からの脱却も図った。

(出所:同社の決算説明会資料より)

値上げが当たり前の時代のなか、セットメニューでお得さを訴求する戦略が、今のところ奏功している。

事実、同じ決算説明会資料で述べている通り、幸楽苑が復活したカギの一つは「定食メニュー」にもある。ラーメンだけでなく中華全般のメニューを取り入れ、夜の定食需要も取りにいった。

息子である昇氏が行おうとした「新市場開拓」を、ブランドの方向性と相違ないように行ったといえるのだ。「幸楽苑」ブランドの顧客層を見据えた上で「脱ラーメン一本足打法」で市場を広げる方向を採ったわけである。

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