カジュアル衣料のアダストリア、復活の理由 「グローバルワーク」が牽引、6期ぶり最高益

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実質創業者でオーナーでもある福田三千男会長兼CEO(最高経営責任者)は、「商品開発力が上がってきたことでV字回復した。現場とマネジメントの距離を縮められたことも大きい」と話す。

かつてのアダストリアは仕入れ商品が中心だった。トレンド物を短期で回すのには良かったが、商品が競合他社と同質化していくことで業績が低迷。2010年に「チェンジ宣言」と称して生産機能を自社で持つ方針に転換した。2013年には取引先商社の一つで生産機能を持っていたナチュラルナインを買収、同年に雑貨に強いトリニティアーツも買収した。

自社生産比率は4割まで上昇

福田会長は、「一連の買収の成果がやっとあらわれてきた。自社生産比率が高まることで、素材や品質などで商品の差別化ができるようになった。スタッフも自信を持って商品をお客様に薦められている」と手応えを感じている。

成長分野として位置づけている「ニコアンド」

今では自社生産比率が4割まで上昇。下期からはさらにナチュラルナインの生産部門をアダストリア単体に統合し、販売と生産部門を一段と一体化。グローバルワークなどでSPA(製造小売り)を強化していく。ただSPA一辺倒ではなく、ニコアンドやローリーズファームは仕入れと半々ぐらいに抑え、トレンドとのバランスを取る方針だ。

この間には営業強化も掲げて「営業推進本部」を設立。本部と店舗・他部門とブランドの連携を強化し、「広告から生産まで組織をまとめて各ブランドの運営能力を向上させた」(福田会長)という。

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