「最寄り駅は遠い、利用者も多い…でも廃止だ!」 23区でも登場した「バス廃止」の路線。バス会社を襲う「リエッセ不足問題」の複雑な事情

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狭い住宅街でのバス運行に欠かせない「小回り性能」に関わる数値を、リエッセ・ポンチョの2車種で比較してみよう。

@リエッセ ホイールベース(車軸間の距離) 3550mm 最小回転半径 5.8m
@ポンチョ ホイールベース 4825mm 最小回転半径 7.7m

一般的には、ホイールベース=前輪・後輪の距離が短いほうが取り回しには有利だ。かつ、最小回転半径が小さいほうが、狭い路地で細かくカーブを描いて走行できる。

2車種の運転経験がある運転手の方によると「ポンチョはハングオーバー(タイヤから車両の端までの部分)が短く運転はしやすいが、リエッセほど狭い路地に入っていけない」とのこと。道中の至る所に「さすがにここはバス通りじゃないよね?」と言いたくなるような狭い路地を走り抜ける泉38は、リエッセでないと運行を継続できなかったのだ。

もう一つ、ポンチョは「乗客の収容能力」問題を抱える。リエッセ・ポンチョの定員は同程度ではあるものの、西武バスによると、「ポンチョよりリエッセの車内床面積が大きいため、一般的にはリエッセのほうが多く乗車いただけると認識しております」とのこと。時間帯によってかなり混みあう泉38では、ポンチョで走行できたとしても乗客を捌き切れないのだ。

2011年に製造中止となったリエッセの修理・部品調達は、年々困難となる。泉38は過去にも「車両老朽化」を理由に減便しており、2019年の時点で「朝には1時間5本、日中も2~3本」もあったバスの本数は、2025年現在では1時間1本程度まで減少。完全廃止もやむを得ない。

「泉38」バス廃止後、代替手段は?どうする練馬区

「泉38」代替バス停の案内
「泉38」代替バス停の案内(西武バスWebサイトより)
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