「最寄り駅は遠い、利用者も多い…でも廃止だ!」 23区でも登場した「バス廃止」の路線。バス会社を襲う「リエッセ不足問題」の複雑な事情

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西武バスによると「ご利用状況も減便に応じて減少はしておりますが、現在においても非常に少ないレベルではないことは認識している」そうで、泉38系統の利用者はまだそれなりにいる。詳細な利用実績は公開していないものの、2022年12月の練馬区議会資料では「1日625人・月で延べ2万人」に利用されているそうだ。

しかし、泉38系統の400mほど西側にある外環道(東京外かく環状道路)には「泉39」系統(大泉学園駅~和光市駅)が、600mほど東側の大泉学園通りには「吉61」など多数の路線バスが通る。

どちらもはるかに運転本数が多く、定員70~80名の大型車両が走行できるため、泉38系統の代替えは「他系統のバス停まで歩いてもらい、泉38は廃止」しかなかったのだろう。

実は、こういった「リエッセでないと走行できない」路線は、西武バス以外にも存在する。車両の老朽化とどう向き合っていくのか……は、最後に触れるとして、なぜ、小回りの利く小型バス車両は製造されなくなったのか、リエッセの歴史と共に検証してみよう。

時代は「リエッセからポンチョへ」 迫られたバリアフリー対応

リエッセ車両
地方のリエッセ車両。九州産交バス・熊本県人吉市内にて(筆者撮影)

リエッセが発売された1995年当時、路線バスの役割は「大型車両で都市間・駅間を結ぶ」から「小型車両で自宅近くと学校・病院をこまめに巡る」に変わりつつあった。しかし当時のバス車両は小型車両の選択肢が乏しく、リエッセの前身「レインボーRB」も、路線バス向きの仕様ではあまりなかった。

そういった需要に応える小型車両を開発していたところに、現在の京急バスや、市独自のバス路線開設を検討していた武蔵野市から日野自動車に「こんなバス車両が欲しい!」と要望がタイミングよく入る。

同社は要望を聞き、狭い道で擦らないように路肩灯の出っ張りを減らすなどの工夫を凝らした新車種・リエッセが誕生した。

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