カネがなくても戦える!売上高J1ブービーの「湘南ベルマーレ」が快進撃を続けられる"納得の経営"

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同クラブの2023年の売上高は28億1200万円で、J1最下位だったサガン鳥栖に次いで下から2番目。トップチーム人件費の12億5500万円も、アルビレックス新潟、鳥栖に続く下から3番目。2024年もほぼ同水準だった。

2025年は鳥栖がJ2に降格してしまい、売上高もトップチーム人件費もJ1で下から2番目になる見通しだ。移籍金が重要な収入源になっているのも事実で、中心選手の流出に歯止めをかけるのは困難というしかない。

実際、山口体制の4年間を見ても、町野が2023年夏にドイツ・ブンデスリーガ1部のキールへ移籍。大橋も2024年頭にサンフレッチェ広島へ移籍し、半年後にはイングランド2部のブラックバーンへステップアップした。

今季も、2024年パリ五輪日本代表の最終候補まで残った有望株ボランチ・田中聡が広島に引き抜かれた。夏以降には鈴木章斗、平岡大陽ら伸び盛りの若手にさまざまなオファーが届く可能性があり、坂本社長も山口監督も頭の痛い状況が続きそうだ。

キャプテンとしてチームを牽引する鈴木章斗(©SHONAN BELLMARE)

さらなる飛躍のカギは「増収策」と「スカウト」

「クラブとしては、現状はまだ本拠地であるレモンガススタジアム平塚で開催するホームゲームを全試合満員にできているわけではありません。スポンサー営業やグッズ販売なども、まだできることはある。少しでも収入を増やし、トップチームに還元できるように努めていきたいと強く思っています」(坂本社長)

そのうえで「同時に2〜3年スパンで大きく飛躍する可能性の高い選手を集めるべく、スカウティング体制の強化を進めていく必要がある。それは早急の課題です」と言葉を継ぐ。

目下、湘南の強化部隊は坂本社長の下に、J3・ガイナーレ鳥取で長く強化部長を務めたクラブOBの吉野智行・スポーツダイレクター(SD)がいて、編成から補強までを任せている。それ以外にスカウト担当が2人いて、事務の女性スタッフ1人がサポートしているというが、他クラブに比べると少数精鋭だ。

彼らが機動力を持って進んでいかなければ、資金力で劣る湘南が最上位リーグでトップに立つのは難しい。そこは坂本社長も痛感している点だ。

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