先日、元部下の男性社員と仕事の打ち合わせをしたときに、この話題になったのですが、「上司に恋? いや、ないっすね、ゼッタイ!」と全否定されてしまいまして(笑)。彼にとっては異性の上司経験は私だけだったのですが、お母ちゃんと息子といった方が的確な関係性でしたねぇ。それもうるさいお母ちゃんと思春期の息子。反発ばかりされて、肩で息をしながらなんとか過ごしていたのを思い出します。ちょっと残念なくらい恋などとは無縁でしたねぇ。
私にも心から尊敬していて、大好きな直属の男性上司は何人かいました。その気持ちが恋心にならなかったのは、彼らが真に立派な人たちだったからにほかならない、と私は今となっては思います。もちろん、尊敬していてもタイプじゃないということはあるわけですが、スーツ姿が素敵で、それこそみんながトラブルでオロオロしている時にパシっと締めてくれたり、時に見せる子どもっぽいところや笑顔なんかに、大好き度が増す、ということは何度もありました。
あるモテモテ上司の場合
そういう上司のうちのひとりに、男性部下たちからの人気もさることながら、20歳くらい年下の女性社員たちからも不動の人気を得ていて、「好きな上司NO.1」常連の人がいました。夜の食事やランチにも女性社員たちと出かけていたし、会議室での長時間にわたる面談風景もよく見かけたものです。でも、不思議なほど恋のうわさが立たないのです。「奥様がものすごくできた人」という話が出回っていたのもあったけれど、それでも、女性社員たち同士の関係の中で、「彼女だけひいきされている」「彼女ともしかして?」といったうわさ話をほとんど聞かない。
あるとき、食事の席で私は、「実は猛アプローチとかされているんじゃないですかぁ?」と冗談で聞いてみました。すると彼は、「ないね」ときっぱり。「でも、面談とかで、彼女のことばかりひいきして私は冷や飯食ってるって、泣かれたりはするでしょ?」と聞いても、「まったくない」と言う。そして、「上司は直属の異性の部下からアプローチさせちゃいけないんだよ。気持ちを伝える隙など作ってはいけない。そうさせないのが本人のためでもあり、チームのためでもある」と言ったのです。
では、恋されてしまうだけならいいのか、というと本来はそれもNGだと彼は言いました。ただし、気持ちが生まれてしまうのをコントロールするのは難しい、百歩譲って仕方ない、しかし成就すると思わせてはいけない、と彼は続けました。そして、もちろん彼は直属の部下に恋心を抱くこともあり得ないと言っていました。
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