白隠さんは、自身の精神の異変について、こう記しています。
「悲しむころは心火ひそかに逆上し、肺金痛み、水分枯渇し、覚えず難治の疾病を発す。挙措動静驚悲(きょそどうじょうきょひ)多く、身心怯弱(しんしんきょうじゃく)にして両腋(りょうえき)常に汗を生ず。鍼灸薬の救うきところにあらず」
要するに、耳からはいろんなものが聞こえてくる、目からは涙が止まらなくなる、体中が火照って熱くなって、呼吸するのも苦しい、という状態ですから、尋常のものではありません。
仙人に授かった2つの秘術
これがなかなか治らず、難渋した白隠さんですが、そんな折に、京都の白幽子という仙人から授かったのが「軟酥の法」と「内観の法」でした。これにより、白隠さんは禅病から回復したのです。
白隠さんは、雲水たちにも自分の体験を話し、彼らを禅病から救いました。
73歳のとき、自分の体験を『夜船閑話(やせんかんわ)』という一冊にまとめると、これが現代まで読みつがれるロングセラーに。「健康」という言葉もこの本と共に普及したとされているぐらいですから、『夜船閑話』は世に数多ある「健康本」の嚆矢(こうし)と言えるかもしれません。
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