修行でウツになった僧侶”復活”した意外な方法 「私はこの健康法のおかげで84歳まで生きられた」白隠禅師が勧めた「軟酥の法」と「内観の法」とは?

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私はこの健康法のおかげで84歳まで生きられた」と断言する白隠禅師。白隠禅師が白幽仙人に教わったとされる「軟酥の法」と「内観の法」は、今の日本の健康法あるいはマインドフルネスの「はじめの一歩」ではないかと思います。

「軟酥の法」の基本は、丹田呼吸法です。「ふう〜〜〜〜」と息を長く吐いて、それからゆっくり息を吸い、息をおへその下まで落としていきます。そのとき、軟酥(バターに似た乳製品)を頭の上に乗せ、軟酥が溶けていく様子をイメージします。溶けたものが顔を伝い、脇の下から胸へと流れて気海丹田へ、それがつま先まで到達すると、身体全体が温まる、といいます。

ここでいう「気海丹田」は「臍下丹田」のことで、へそ下2寸5分から3寸の位置にあります。東洋医学では丹田が身体の中心であり、身体中の気が集まるところと考えられています。鍼灸師も丹田に灸をすえますし、私たち禅僧が坐禅をするときも、丹田に気を集中させるのです。

ちなみに「軟酥の法」は、中国の「気功」にも通じる部分があるようです。軟酥の法では頭の上に軟酥を乗せますが、気功をおさめた人に聞いた話では、気功では「お尻の下に火があり、その火であぶられるイメージ」で、背骨を通じて身体全体を熱くするのだとか。

就寝前に全身をリラックス

一方、内観の法は簡単にいうと「寝てする禅」です。

『夜船閑話』には次のようにあります。

「第一に工夫も、公案も、すべて投げ出し、先ず熟睡するのが一番。眠りに就く前に、両足を長く伸ばし、両方の踵(かかとのこと)を踏みそろえ、一身に籠もっている元気が、臍から気海、丹田、腰、脚から足の裏まで充実させること」

 

要は、寝る前に全身をリラックスさせながら、丹田から腰から脚、そして足の裏までを意識して深い呼吸をする、ということです。

この内観の法を1週間ないし3週間続けることによって、体の底から平癒する」「もしそうならなかったら、老僧の頭を斬って行け」と白隠禅師は自信満々に書いています。

枡野 俊明 「禅の庭」庭園デザイナー、僧侶

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ますの しゅんみょう / Shunmyo Masuno

1953年、神奈川県生まれ。大学卒業後、大本山總持寺で修行。禅の思想と日本の伝統文化に根ざした「禅の庭」の創作活動を行い、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣(当時)新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年、『ニューズウィーク』誌日本版にて「世界が尊敬する日本人100人」に選出。主な作品はカナダ大使館庭園、セルリアンタワー東急ホテル庭園「閑坐庭」、ベルリン日本庭園「融水苑」など多数。曹洞宗徳雄山建功寺住職、多摩美術大学環境デザイン学科教授。著書に『心配事の9割は起こらない』『仕事も人間関係もうまくいく放っておく力』(以上、三笠書房)など。

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