電気自動車の充電方式で規格争い勃発、先行する日本に欧米勢が“待った”
日本の電気自動車(EV)にガラパゴス化の懸念が高まっている。
焦点となっているのが、EVの充電規格。昨年10月、独BMWや米フォードなど欧米の自動車メーカー7社が、日本と異なる規格の採用を宣言したことがきっかけだ。
日本では2010年春、東京電力や国内の主要自動車メーカーが中心となり「CHAdeMO(チャデモ)」規格を立ち上げている。両者の違いは、充電器と車をつなぐプラグ形状。共に直流で急速充電、交流で普通充電を行うが、チャデモ方式では直流用と交流用が別口なのに対し、欧米メーカーは直流用と交流用を一体化した「コンボ方式」を採用する。同方式であれば、ガソリン車と同じように一つの充電口(給油口)で足り、車の開発上メリットが大きいという理由だ。
コンボ方式のほうがユーザーの使い勝手も向上するように見えるが、課題は少なくない。充電の際には電池の空き容量など、車との情報のやり取りが必要になる。両者はその通信方法でも異なる規格を採用する。ただ、コンボ方式が採用する通信規格は、充電時における信頼性が実証されていない。実はコンボ方式は、それを実用化したEVも、充電器も、まだ一台も存在しない。
それに対して日本メーカーは、日産自動車「リーフ」や三菱自動車「アイ・ミーブ」など、チャデモ方式を採用したEVを世界で発売している。同方式の急速充電器も、1月末に世界設置台数が1000台を超え、「事実上の業界標準」を握っている。