
話は2月にさかのぼる。日本経済団体連合会は同月の19~25日、恒例の「訪米ミッション」を派遣した。その後、筆者は帰ってきた人たちに話を聞いてみたのだが、皆さん一様に「ダメだ。ワシントンのシンクタンクで話を聞いても、トランプ政権のことは何もわからない」と嘆いていた。
「まったく先が読めない政権」とどう向き合うのか
さもありなん。そもそも歴代の政権とは違って、トランプ政権にはシンクタンクからの人材登用は少ない。ドナルド・トランプさんが閣僚に選んだのは、かねて懇意な経営者やメディア関係者が多く、「政策のプロ」には用がない。また、どんなに政策に詳しくても、親分に逆らうような直言居士は、そもそもインナーサークルには入れてもらえない。
そしてせっかく選ばれた閣僚たちも、親分の機嫌を測りかねておどおどしているのが現状だ。究極のトップダウン政権であるから、例えば商務長官に面会して、「日本を追加関税の対象から免除してください」と陳情しても、はっきりした答えは返ってこない。そりゃそうだろう。「よしっ、ここは私が何とかしよう」などと安請け合いしようものなら、後で親分からこっぴどく叱られるのがオチである。
とにかく、トランプさんに会わないと何もわからない。しかもそのトランプさんときたら、言うことがしょっちゅう変わる。「(ウォロディミル・)ゼレンスキーは独裁者」と言っておきながら、数日後には「俺、そんなこと言ったか?」である。ましてカナダ向け追加関税の税率などは、朝令暮改にして変幻自在。とにかく先が読めない政権なのだ。
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