「総合型選抜人材」が生み出す"新しい常識" 慶応大学SFCに見る「多様な可能性の伸ばし方」

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神保:だったら、とにかく目の前にある問題を解決するために動いてみて、そこから専門性を構築していく、というのが私たちの教育に対する考えなんです。その理念が教職員全員で共有されているのが、SFCの強みだと思います。

技術の進化に合わせて人間を変革させる時代?

窪田:神保先生のゼミの卒業生たちはどんな分野で活躍されているのですか?

神保:民間企業だと、商社、IT系、銀行、コンサル会社……と、幅広いジャンルに就職していますね。あとは外務省や防衛省、文科省に入った学生たちもいます。研究者もいて、たぶん防衛研究所の若手研究者は、うちのゼミからの出身者がとても多いですね。特に傾向はなく、さまざまなジャンルで活躍しているので、起業をした人やアナウンサーも。

窪田:ちなみに神保先生が教えていらっしゃるような安全保障の分野で、“目”がテーマとして取り上げられることはありますか?

神保:具体的に動いているものはないですが、バイオサイエンスの分野は学生たちの関心も高いと思います。安全保障の観点からいうと、テーマとしては生物兵器が関係してくるかなと。第1回で紹介したアメリカのDARPA(国防高等研究計画局)の研究にも近いですが、「人間をどう変革していくのか」という研究は、興味を持った学生がいたらやってみてほしいテーマですね。

窪田:最新技術を発展させるだけでなく、人間を変革させていく時代なんですね。

神保:なぜその必要があるかというと、技術の進化に人間がついていくためです。例えば、戦闘機の技術では、マッハの速度から急減速をして旋回するようなことができるようになっている。でも、人間には7Gや8Gの圧力がかかるので、それに耐えるのが難しい。人間と機械が共存できる範囲はどこなのか、そのために人間を変えていくことができるのかが、重要なテーマになっているのです。もちろんそうした研究には、目も含まれます。

窪田:なるほど。今後、研究がどのように進んでいくのか、非常に楽しみです。次回は、トランプ政権発足で揺れるアメリカの国際外交戦略について、神保先生に話を伺います。

(構成:安藤梢)

窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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神保 謙 慶応義塾大学総合政策学部教授

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じんぼ けん / Ken Jimbo

慶応義塾大学総合政策学部教授、公益財団法人国際文化会館常務理事、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API) プレジデント。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了(政策・メディア博士)。専門は国際政治学、安全保障論、アジア太平洋の安全保障、日本の外交・防衛政策。タマサート大学(タイ)で客員教授、國立政治大学(台湾)で客員准教授、南洋工科大学ラジャラトナム国際研究院(シンガポール)客員研究員を歴任。政府関係の役職として、防衛省参与(2020年)、国家安全保障局顧問(2018~2020年)、外務省政策評価アドバイザリーグループ委員などを歴任。主な著書に『検証安倍政権:保守とリアリズムの政治』(共著、中央公論新社、2022年)など多数。

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